“現代は憎しみと欲だけ”と人は言うけど本当にそうだろうか?

     イギリス、ヒースロー空港…降り立つ人々、迎える人々をみていると、とてもいい表情をしている。

     父と子、母と子、夫と妻、恋人同士、懐かしい友…“9月11日”の犠牲者が、あの時かけた電話も、憎しみ

     や復讐ではなく、“愛”のメッセージだった。


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     見渡すと、そこらじゅうに愛が溢れているのに、問題はそれに気づくかどうか・・・。

     世のなかに嫌気がさしたら、ヒースロー空港の到着ゲートへ行ってみるといい。

     きっとたくさんの愛の形を見つけることができるだろう。

     この世界には、実にたくさんの愛が満ち溢れている。


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     イギリスでのクリスマスの前後5週間を、年齢も人種も職業も様々な人間模様を通して語られる、心温

     まる物語たち。彼らの行動はあり得ない設定ではあるが(ま、映画なんだから当たり前なんだけど)、

     どこか切なくて、思わず「分かるなぁ…」と共感を覚えてしまう場面が多い。

     イギリスの有名、無名な俳優たち19人(なぜ奇数かというと…それは後ほど。)が織りなす至福の愛の

     短篇ストーリー。    
               Piattのブログ ←無理やり、姉弟の設定だったりする・・・。
           
     (ダンディな首相と新米秘書)

     若くてハンサム、しかも独身の新任首相デヴィット(ヒュー・グラント)が官邸へとやってきた。待機してい

     た側近の中、ひとりの女性に一目ぼれしてしまう。

     彼女はちょっとぽっちゃりした秘書、ナタリー(マルティン・マカッチョン)。

     アメリカ大統領(ビリー・ボブ・ソーントン)が訪英した際、ナタリーを誘惑しようとした態度をみてしまった

     デヴィットは一念発起。

     記者会見で「イギリスにはハリー・ポッターとベッカムがいる。アメリカなんかには負けないんだ!」と演

     説して米大統領を唖然とさせる。

     その演説で国民の人気を得るが、彼はナタリーから遠ざかる道を選んでしまった。

     しばらく悩んでいると、彼にナタリーからクリスマス・カードが届く。カードに書かれていたのは…。


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    (妻を亡くした男と義理の息子)

    最愛の妻を亡くして消沈しているダニエル(リーアム・ニーソン)は、妻の連れ子のサム(トーマス・サング

    スター)のことを気にかけていた。部屋から出ようとしない少年と、どう接していいか分からないのだ。

    だが、少年は母親の死もショックなのだが、もっと気にかかることがあった。

    その悩みとは、学校で一番歌がうまくて人気のある少女への切ない片想いだと判明。そこは男同士、「タイ

    タニック」の名場面で恋の手ほどきを教えるダニエルと興味津々のサム。

    そしていつしか二人は親子ともちょっと違う関係を作り、心が通い合っていく。サムは彼女を振り向かせる

    ため、ドラムを練習することにした。彼女はクリスマスに学校で行われるコンサートが終わったら、アメリカ

    に行ってしまうのだ。

    そのコンサートでサムはミュージシャンとして参加し、彼女に気づいてもらおうという作戦を立てる。

    ヒントを貰ったのはあるTVの老ミュージシャン。

    果たしてサムの淡い恋は実るのか…?


                   Piattのブログ ←可愛いいんだ、この子が・・・!

   (落ちぶれロック歌手とそのマネージャー)

    昔、人気のあったロック歌手ももう90歳。世間では彼の全盛期を知る者は少なくなっていた。

    しかしまだまだ現役のビリー(ビル・ナイ)は、かつての持ち歌をアレンジしたクリスマス・ソングをレコーデ

    ィングして再起をかけていた。

    長年の付き合いのマネージャー(グレゴール・フィッシャー)が必死に売り込むが、昔の栄光が忘れられな

    いビリーは、TVやラジオで問題発言や行動で世間を騒がせてしまう…。

    以外にもこれが功を奏し、全英クリスマス・ヒットチャートNo.1に躍り出ることに!

    あっちこっちひっぱりダコになるビリーだったが、クリスマス・イヴの夜、エルトン・ジョン(出演はない)の

    パーティを抜け出した。

    どこか心の中に、ポッカリと穴が空いたように寂しいのだ。誰かが足りない…一番大切な誰かが…。


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   (弟に恋人を奪われた小説家とそのメイド)

    弟に恋人を奪われてしまった小説家のジェイミー(コリン・ファース)は、心の傷を癒すため、南仏の湖畔に

    あるコテージにしばらく滞在することになった。

    身の回りを世話するメイドを紹介され、彼女としばらく生活することに。

    だが彼女はポルトガル語しか話せない。

    ある日、外でタイプライターを打っていたジェイミーの原稿が風で湖に落ちてしまう。

    必死にかき集めるメイド、オレリア(ルシア・モレス)。責任を感じた彼女は、意を決して冷たい湖に服を脱

    いで飛び込んだ。

    その事件から二人はお互いを意識するのだが…。

    南仏の美しい風景と異国を思わせるポルトガル語を話すオレリアなど、何処となくフランス映画を観ている

    ような印象だ。


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   (会社社長とその奥さま)

    デザイン会社を経営するハリー(アラン・リックマン=スネイプ…なぜか役名はハリー!?苦笑)は、クリスマ

    スを家族と一緒に過ごすことにしていた。

    長年連れ添った妻カレン(エマ・トンプソン)とはちょっと倦怠ムード、彼女ははジョニー・ミッチェルの大ファ

    ン。子供たちがいるからこそなんとか関係を保っていた。

    そこへきて、ハリーの美人秘書ミア(ハイケ・マカッシュ)が彼にモーションをかけてきた。

    クリスマス・プレゼントをおねだりされ、妻には内緒でハート型のペンダントを包んでもらおうと店員に話し

    かける。この店員が曲者で、なかなか手早く包んでくれない。(店員は誰あろう、Mr.ビーンことローワン・ア

    トキンソン…ただの店員で済むはずもない。)

    家でカレンは偶然に秘密のプレゼントを見つけてしまった。自分へのプレゼントだと期待していたカレンだ

    ったが、クリスマス・イヴの夜、その包みを開けて出てきたのは…・。


                  Piattのブログ ←ブラジル好青年サントロ&ローラ

   (OLサラと超二枚目の同僚との恋の行方)

    ハリーの会社で働くサラ(ローラ・リニー)は、入社以来ずっと想いを秘めた人がいる。

    ある事情があって、なかなか言い出せずPCに隠れてチラチラ覗き見るのは、ラテン系のデザイナー、カー

    ル(ロドリンゴ・サントロ…300の筋肉健在!?)。

    クリスマス・パーティでは、なんとカールの方からダンスを申し出て来るというラッキーな出来事が起こる。

    そのままサラのアパートまで送ってくれたカールと結ばれると思いきや、無粋にも携帯電話で破られる。

    声の主は、精神を病んで入院している弟からだった。

    サラは両親を亡くしてからずっと弟の世話を看てきたのだった。そのために婚期を逃しても仕方のないこと

    だと諦めていた。

    「大丈夫?」と弟に聞かれて気丈にも「大丈夫。」と答えるサラ。二人とも大丈夫じゃないことが分かってい

    るのに…。


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   (親友の結婚と秘めた思い)

    新鋭画家のマーク(アンドリュー・リンカーン)は、親友ピーター(キーラ・イジョフォー)の結婚式に出てい

    た。ピーターの新妻は美しいジュリエット(キーラ・ナイトレイ)。

    彼には、誰にも言えない秘めた想いがあった。

    それを悟られまいとつい、ジュリエットにはよそよそしい態度をとってしまうマーク。

    ある時、結婚式のビデオを見せてもらおうとマークの元を訪れたジュリエットが偶然見てしまったビデオに

    は、自分だけが写っていた。気まずく押し黙る二人。

    時間が過ぎ、やがてクリスマス・イヴの夜、夫と二人きりで過ごすジュリエットの元へ、マークが訪ねてき

    た。手には大きなカードを持って、ただ無言でカードのメッセージをジュリエットにみせるために…。

    「来年はきっと恋人を作る。でも今年だけは言わせてほしい。重荷に思わず、クリスマスだから、聞き流し

    てくれ。クリスマスだから本心を打ち明けよう。」

    そしてカードには…。

                   Piattのブログ ←敢えて、訳しません…涙。

   (イギリス青年とアメリカ娘たち)

    ケータリングの仕事をしながら彼女を探しているコリン(クリス・マーシャル)。イギリスではモテないが、ア

    メリカなら…とさっそくアメリカに渡る。

    着いたのは田舎の1軒しかないバー。

    何事も前向きな彼が入っていくと、クイーンズ・イングリッシュを話すコリンに惹かれて一人の女性が話し

    かけてきた。こんな田舎で…と笑う観客をよそに、現れたのは…。


   (シャイな助監督と代役の彼女)

    コリンの友人、トニー(アブダル・サリス)が助監督を務める映画の撮影現場では、ラブシーンのリハーサ

    ル中。代役(スタンド・イン)のジョン(マーティン・フリーマン)は照れ隠しのためか、何気ない会話で気を紛

    らわそうと代役の女優に話しかけた。これが意外と会話が弾み、いつしか恋心が芽生え始め…。


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    最初はバラバラだったドラマたちが、クリスマスという日に向かって歩き出し、そして当日、それぞれの人

    物が上手く収束していくのは、観ていてとても気持ちがいい。

    たとえあり得ない設定でも、映画だと割り切らないで成り行きを楽しんでいると、様々な人間たちのドラマを

    通して、ふと自分たちの身近にある愛の形であることに気づく。

    ドキッとしたり、ホッとしたり、笑ったり、時には涙に共感したりする。

    「そんなことってあるよね~、分かる分かる…」と相槌を打ちながら、主人公たちを励ましているうちに、い

    つの間にか心が温かくなってくる。


    1話ごと、1本の映画として成立してしまいそうなエピソードたちを、惜しげもなく2時間ちょっと(135分)に詰

    め込んだのは、「ノッティング・ヒルの恋人」「フォー・ウエディング」等、ハリウッド映画とはちょっと違う愛の

    スタイルで女性たちの注目を集めた脚本家、リチャード・カーティス。


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    音楽も映画の一部というだけあって、ダサ系(ビル・ナイのミュージシャンぶりはパイレーツ・ロック真っ青

    の過激で危ない演技…笑えます。)から愛の名曲まで、心憎い選曲ばかり。

    特に素敵なのはジョニー・ミッチェルの「青春の光と影」。25歳でこの曲を書いたジョニーは、40年後、自ら

    の辿ってきた軌跡を、円熟した歌声で再度歌い込んでいる。

    シーンととても相性ピッタリで、歌詞が切なくてつい涙があふれてくる。

                     恋人たちのクリスマス/マライア・キャリー
                       
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    コンサートでマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」を歌う少女には、200人のオーディションで選ば

    れた少女が素晴らしい歌声を披露している。彼女の生の歌声と息遣いを効かせようと意識してしまったせ

    いか、逆に口パクに見えてしまった…残念な演出。それ以外が良いので目をつぶろう。


    クリスマス映画の定番になっている、ハート・ウォーミングなストーリー。

    笑って、泣いて、そして人恋しくなる、クリスマスにピッタリな作品。

    あなたはどの物語に感動するのでしょうか…。



    監督: リチャード・カーティス

    製作総指揮: モハメド・アル=ファイド/リチャード・カーティス

    脚本: リチャード・カーティス

    撮影: マイケル・コールター

    編集: ニック・ムーア

    音楽: クレイグ・アームストロング


    出演:  ヒュー・グラント (英国首相デヴィッド)     

         リーアム・ニーソン (ダニエル…妻を亡くした男)     

         エマ・トンプソン (カレン…ハリーの妻)     

         アラン・リックマン (ハリー…会社経営者でカレンの夫)     

         コリン・ファース (小説家、ジェイミー)     

         ローラ・リニー(OLサラ)     

         キーラ・ナイトレイ(ピーターと結婚したジュリエット)     

         ローワン・アトキンソン (宝石店員ルーファス)     

         ビリー・ボブ・ソーントン (米国大統領)     

         ビル・ナイ (往年のロックスター…ビリー)     

         アンドリュー・リンカーン(ピーターの親友、マーク)     

         マルティン・マカッチョン (首相の秘書、ナタリー)     

         クリス・マーシャル(アメリカへ旅立つ男、コリン)     

         ルシア・モニス (ポルトガル語を話す、オレーリア)     

         マーティン・フリーマン (映画代役のジョン)     

         トーマス・サングスター (ダニエルの義理の息子…サム)     

         ロドリゴ・サントロ (サラの同僚、超美形のカール)     

         ハイケ・マカッシュ (ハリーの浮気相手、秘書ミア)     

         キウェテル・イジョフォー (ジュリエットの夫、ピーター)     

         アブダル・サリス (コリンの友人、トニー)     

         グレゴール・フィッシャー(ビリーのマネージャー・ジョー)     

         オリヴィア・オルソン (サムの初恋相手、ジョアンナ)


         あれ?19人以上いるなぁ…笑。



         2004.2.7日本公開(X’mas前公開なら良かったのに…)

         イギリス・アメリカ映画 PG-12


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               /エマ・トンプソン,ローラ・リニー,ローワン・アトキンソン
                          
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                       青春の光と影/ジョニ・ミッチェル
                       
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