ケミカルジョイント・アーキテクチャー@UIA2011 | 飲・水・思・源・2

ケミカルジョイント・アーキテクチャー@UIA2011

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 UIA2011 東京大会(第24回世界建築会議)が先日終わりました。これは国際建築家連合(UIA)により3年に一回開催される大会で、世界の著名な建築家が集い、現代社会と建築について語り合う機会になります。この大会が行われる年に311という未曾有の大震災が起こった事は不幸な事でしたが、しかし建築に携わる者として建築を作る事でどんな社会を作っていくべきか真摯に捉える、これまでにない契機になったのではないかと思います。

 さてその大会の会場となる東京国際フォーラムの中庭に、東京電機大学教授で構造家の今川憲英さんが幹事で私も研究会に参加している「ケミカルジョイント・アーキテクチャー」のパビリオンを設営しました。珪砂にCO2を吹きかける事で固化させる珪砂ブロックを用いた、世界で初めての構造体です。これまでの建築は建設過程で二酸化炭素を排出していたのに対し、ここでは二酸化炭素を吸着し酸素を排出するという化学反応を用いて環境負荷を抑えた作り方を生み出しているという事で、「ケミカルジョイント・アーキテクチャー」という名称を付けています。期間中はこのような環境という視点で持ってこれまでと全く違う建築の作り方、社会での在り方を思考する事を目的に、「建築のセレンディピティ」というタイトルでこのパビリオンでワークショップやシンポジウムを行いました。

 施工は考えていたより大分大変でしたが、徐々に立ち上がる珪砂ブロックの構造体は非常に美しく、キレイに漂白された白いモダンな空間よりも、素材の持つ存在感と力を感じられる空間の方に私は魅かれるのだなと改めて感じられました。
 このケミカルジョイント・アーキテクチャーは今後も研究を続け、さらに発展させていく事を目的としています。またお披露目できる機会を探してお知らせしたいと思います。