ジャン=ポール・エヴァン ティラミス ♪86.3

スイーツ ランキング ~ぼくはむこようし

 
ティラミスというアイスココアであります。
一杯1700円くらい。
 
ミルクのコクがしっかりと感じられ、トロンとした舌触りが悩ましげに存在を主張します。
中盤にはミルクの性格から育ったかのように酸味が滲み、同時にキリッとした苦味が生れ、余韻に向けて味わいに拡散性を施して優雅なる風味の構築を感じさせます。
全体として甘味が柔らかく、コクの強さを共鳴させることで、やや過剰ともいえる丸みを出したモコッとした味わいにジャン=ポール・エヴァンの貫禄を覚えるところ。高級感を見せつけようという才能ある若手ショコラティエ的な、尖りや攻撃性を持たないところに余裕が感じられます。
 
そして何よりも感動的なのは、頂く者の期待にがっちり応えるショコラの味わいのレベルの高さでありましょう。
チョコレートの後味の滲みかたは素晴らしく、舌の上に転がるその風合いは、質のよさをキメの圧倒的な整い方によって表現します。
 
チーズクリームはミルクに軽くチーズの風味をつけたものという印象で、マスカルポーネを軽くした印象であります。ほのかな甘みが心地よく、上品でライトな味わい故に、シナモンのハーヴィーな性格を角を抑えながら高揚感を阻害せずに演出します。
 
さらにはチョコレートとの相性も抜群です。
このクリームにより口当たりが明るくしっかりしたものとなり、丸いコクを出しながらの味わいは豊かであり、さらには中盤にチョコレートのコクをドンと導きだすのです。
後味ですっと抜ける清涼感はミルクのキメの良さが押し出され、チョコレートの風味を魅力的に拡散させる様子によく馴染み、そこに適度にシナモンが加わることにより、その味わいが複雑に構築されるのです。
シナモンの味わいがこれほどまでに、チョコレートやチーズ、ミルクの長所を引き出す様子を初めて覚えた作品です。
 
しかし残念な点もみられます。
当方の様に豊かではない人間は、このお店の作品を頂く際には相当慎重に味わうところでありますが、余裕のある生活を楽しむ方なら無造作にのどを潤すであろう作品かもしれません。アイスココアというジャンルには、そのような軽快さを期待されることが多いと思うのです。
 
味わいそのものも強烈な力強さをもつものではないために、無造作に飲まれかねません。
そんな謙虚さが、逆にこの作品に難しさを求めるところなのです。
 
そのように頂くとトップに施されるシナモンパウダーの粉っ気が、チョコレートの精密な風味の構築からなる絹を思わす滑らかさを、やや粗削りに感じさるのです。
 
シナモンの味わいをコントラストと捉えるには、このチョコレートのレベルの高さを理解していることが必要であり、同時にその素晴らしい味わいを楽しむタイミングやコツを得ていてこそというもの。それに気付かないままに無造作に味わえば、単純に雑な味わいであるかのようにも感じてしまう可能性があるのです。
 
しかしチーズのコクはチョコレートの風味と共に高まる様子に、それがシナモンとチョコレートパウダーが持つそのドライな質感とのコントラストによるところであると感じ取れるのであれば、なんら問題がない、いやむしろその存在は大変愛おしいものとなるのです。
 
シナモンの存在を素晴らしいものと感じられるかどうか・・・、これがこの作品の評価を大きく左右させるものとなるでしょう。
 
まあ正直なところの感想を言えば、値段を考えると・・・、それでも美味すぎる!!
 
 
○ ジャン=ポール・エヴァン 公式サイト
◎ JEAN=PAUL HEVIN
○ http://www.jph-japon.co.jp/
 
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