ジャン=ポール・エヴァン モンブラン ♪87.5

スイーツ ランキング ~ぼくはむこようし

 
今日紹介するのは名作中の名作、凄いです、はい・・・。
誰もが認めざるを得ないホイップクリームがここにあります。
 
ジャン=ポール・エヴァンのモンブランです。
金土日限定のケーキです。
一般的にジャン=ポール・エヴァンのお店ではショコラのケーキを頂きたいところでありますが、まあたまにはねえと変化球的に頂く・・・、なんてレベルの作品ではありません!!
 
これが生ホイップクリームのゴールかとも思える美味しさに、がっちり胸を貫かれてしまいます。
トッピングのマロンクリームは少しザラッとした口当たりに、すぐに蜂蜜のような緻密な酸味が広がります。その味わいに良いながら後味を感じれば、そこに浮き上がるマロンの風合い・・・。キャラメルのように甘味に深みとコクを感じ、そこに漂うロースト感が心地よく、さらにはその風味に重なりを持って現れたマロンの旨みが調和し、太い味をつくるのです。そしてこのマロンの風合いはその美しさをここからさらに増し、余韻ではしっかりとその個性が口の中に広がります。膨らみを感じられるその素晴らしき展開は、最終的に口の中の上空を抱擁し、その性格は意外にも丸みを感じさせるのではなく、ある種のスパイシーさを瞬間瞬間に放つことで、その魅力に大胆さと繊細さを含ませるのです。
 
この素晴らしさはこれに終わらず、さらには甘味の質も素晴らしいもの。上品な作品でありながら甘味をきらったものではなく、スイーツにあるべき甘味の楽しさをしっかり残すのです。内包する甘味は砂糖の風合いではなく、蜂蜜のような熟成感と滑らかにして密度の高い素養を持ち、深さとコクを感じさせながら徹底したエレガントさを主張します。
 
トップに添えられるシュガーパウダーはこのマロンクリームに対して色彩の美しさを放ち、この豊かな味わいの序章にほのかに甘みとドライさを添えるのです。
淡白な味わいであり、量も極めて少ないために、マロンクリームの性格を汚さず、しかしマロンクリームの美しさを対比によって大胆に示すことを目的とするかのように、少し乾いたタッチの舌触りを表現します。
マロンクリームの舌に微かに残る滑らかな風合いを、食べる度に、その直前で一瞬にしてリセットするかのようなこの存在。
この少ない量だから許される、この落ち着きのある大人びた枯れた甘味が、さりげなくも憎いところ。
 

スイーツ ランキング ~ぼくはむこようし

 
そしてハイライトはこの下に隠された生ホイップクリームでしょう。
神の味・・・、そんな表現がピタリとあう素晴らしいものであります。
かつて経験をしたことがないような口どけの素晴らしさは、ムースにすら感じられる一方で、いやいやそれは柔らかな舌触りから感じるのであって、ムースでは到底生み出すことが不可能な流れるような口どけの劇的な演出は、食べるものを圧倒します。
軽い食感からじわっと膨らむミルクの生み出す旨み、その質の高さは暴力的にすら感じられるほどに強烈なインパクトを持っています。
甘味は酸味を微かに含ませながらキメの細やかさに凄身を感じさせ、このクリームが持つ主題とすべき味わいを崩すことないままに、余韻ではうねるようなミルクの素晴らしき味わいを艶めかしく添えていきます。
消えていくその存在の中で、軽く舌に酸味や蜂蜜を思わす風味を感じさせます。
この蜂蜜を思わす風味の何と素晴らしいこと。
仮にこの個性が苦手という方がいたとしても、それが素晴らしいものであるということは間違いなく理解できるはずです。
これほどまでに徹底して上質さを伝えるケーキは他にあるのだろうかと、ジャン=ポール・エヴァンの創造力、それを支えるスタッフの表現力に脱帽しますね。
 
マロンクリームと生ホイップクリームは食感は確かに異なるものであります。
共に頂けば柔らかな口当たりからミルクの風味が広がり、キャラメリック(当方造語)なマロンの味わいがドンと後味をきめていきます。余韻にはマロンの旨みと酸味を感じさせます。生ホイップクリームの口どけの良いその性格が、全体を滑らかに抱擁するのも素晴らしく、どこに欠点を探せばよいのかわからないというこのクリームの構成であります。
 
クリームの土台となるスポンジ部分は・・・、スポンジといってよいのでしょうかね?
ビスコッティー生地っていうのか?
この辺の専門用語はよくわかりませんので、申し訳ないです。
ここはまるでドライなものであります。
カラメルのふかし菓子みたいなもので、砂糖いや黒糖のような甘味が見られます。
噛むたびに口の中で潤いを含み、湿っていく過程で生地が詰まり、味を密にしていきます。
日本人にとっては古き和菓子の印象をもつ個性が強くみられ、近代的に発展した欧州の洋菓子の原点の味わいに立ち返ったかのような郷土菓子の素朴な味を楽しませてくれているように感じられます。
この土台に、生ホイップクリームが重なると、黒糖の風合いを持つ陰湿重厚な個性により、味に角が付き、中盤の味わいがより鮮烈となります。
 
余韻はやや風味の繊細さを妨げる印象がわずかながらとはいえ確かにあり、ここが唯一の不満でありますが、食べ方次第で上手く良さを引き出しもできる範囲。無造作に食べると少しバランスが崩れるような気がしなくもない・・・、とはいえ余韻の中のほんの一部の風味におけるとってもマクロな話ではありますけどね。
この土台の上にはキャラメルマロンスプレッド(?)的なものが添えられています。
これが風味の展開における良いアクセントとして存在します。甘味もしっかりあり、さらにはコクの強い濃密な旨みでそのな味わいを主張します。
 
これだけ構成複雑なケーキでありながら、さらに飽きさせない要素がここに加わっているのです。とはいえ少量故にくどくはならないところが、エレガント極まれりなジャン=ポール・エヴァンの素晴らしさ。
 
一瞬の隙も与えない感動の連続が生み出す、一本線の通った美味しさのジェットコースターがここにあります。
 
乗ってみませんか?
 
 
○ ジャン=ポール・エヴァン 公式サイト
◎ JEAN=PAUL HEVIN
○ http://www.jph-japon.co.jp/
 
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日本美食学会プロデュース
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