ちょっと前の話になりますが・・・
ロビン・ヒッチコックの10年ぶりの来日公演を観に行きました。
このロビン・ヒッチコックという人物。
デビュー当時はThe Soft Boysというバンドに所属していて、その時から数えると既にキャリアは40年ほど。
ポップだけどサイケデリックでもあるクセになる楽曲と、独特の唄声はまるでシド・バレットの曲をジョン・レノンがカバーしているかのよう。
日本での知名度はいまひとつだけど、海外ではR.E.M、ポウジーズ、ヨ・ラ・テンゴ、ソニック・ユース・・・といった面々にも影響を与えた人物。
そして、僕にとっては、ツイッターのアカウントもアルバムのタイトルから借用していたりするほどに大好きな人物・・・ということもあり、来日を心待ちにしていたのでした。
さて、会場の南青山マンダラはライブハウスでありながらも全席着席スタイルのオシャレなラウンジのような空間。
知名度はいまひとつとはいうものの、そこはさすがの大御所のライブ・・・ということで客席はちょぴり窮屈な状態。
こりゃ、バーカウンターの前あたりで立ち見の方が楽かもなぁ・・・・などと思っているうちに、まずはここのところロビンと一緒に活動しているらしい女性シンガー、エンマ・シフトの登場。
アコースティック・ギターを爪弾きながらフォークのようなカントリーのような楽曲を歌う彼女の唄声は、透明感がありつつも単なる耳触りのいい声ではなく、不思議と引っかかりのある声・・・といった感じ。
今回の来日までは全く知らなかった彼女でしたが、これはロビンさんが一緒に活動したくなるのもよく判るなぁ。
ソロで歌ったのは3曲ほどでしたが、もうちょっと聴いてみたかった・・・と思いました。
で、ほどなくして10年ぶりにロビン・ヒッチコック登場!
前回の来日の時と同じ、トレードマークの水玉シャツで登場した彼。
ギターを軽くチューニングした後の1曲目の『Balloon Man』を歌い出した瞬間、会場内の空気がガラリと変わるのが見えたような感覚に・・・・。
今回の来日のことを知った時、今回はアコースティックライブだということを聞いて「なんだ、バンドじゃないのか」と少々ガッカリしたのだけれども、その考えがいかに浅はかなものかを1曲目で思い知らされた感じ。
この人の音楽で大事なのは楽曲、そしてこの声だったんだなぁ。
その後も曲ごとにチューニングを変えまくり、ホラ話を大真面目に語りつつ(ビートルズはチューニングの時に純金の音叉をつかっていた・・・とか多分そんな内容だったはず)、次から次へと名曲の数々を披露。
途中で何曲か参加したエンマ・シフトとのハーモニーの相性もバッチリで本当にいくらでも聴いていたかったほど。
そして、アンコールでは「死んだ男たちの歌」シリーズとして、ジョン・レノンやドアーズなどのカバー曲特集!!
ジョン・レノンの『ジェラス・ガイ』のカバーなんて、まるでジョンが「新曲ができたから聴いてくれる?」ってんで、目の前で弾いてみせてくれたみたいだったなぁ・・・・・。
「このまま朝まで続けちゃえばいいのに」と心の底から思う、そんな素晴らしいライブでした。
で、ライブ終了後はまたひょっこりと本人が登場して、そのままサイン会&撮影会がスタート。
ライブで疲れているだろうに、一人ひとりに丁寧に対応して、後ろの方で並んでいる僕らに時々「待っててくれてありがとうー!」なんて声をかけてくれたりして、何ていい人なんだろう・・・と感動。
長年、色々な音楽を聴いていると「この人のファンで居続けてきてよかった」と思えるライブが時々あるけれども、今回もまさしくそんな感じ。
これからも彼が引退宣言をするその日まで、しっかりと動向を見守っていこうと思った、そんな夜でした。