ポンヌフの恋人



制作年度     1991年

制作国       フランス

上映時間      125分

監督        レオス・カラックス        

出演    ドニ・ラヴァンジュリエット・ビノシュクラウス=ミヒャエル・グリューバー 



Story

浮浪者のアレックスは、失明の危機に絶望するミシェルと出会い、ポンヌフ橋の上で共同生活をする。

やがて互いに惹かれあってゆくのだが・・・  



Note

ポンヌフ橋の撮影許可がおりなかった為に、同じ橋を作って、撮影に挑んだという、日本人にはあり得ない発想力。
きっとカラックスは映画でパリを支配した世界を描きたかったのだろう。


パリの街ほどフィルムに美しく刻まれる街はないだろうし、
映画人ならパリを自由に描きたいと思うのは当然の欲求なのだとこの映画を観て思う。


パリを自由にかけまわる主役のアレックスは、不自由と自由の境目にいて、それはカラックス自身を描いてるように見える。
愛や自由というベーシックなテーマを光と影に置き換えて表現した秀作な映画だと思う。


「太田光の私が総理大臣になったら」という番組での太田氏を見てると、早く映画を撮って欲しいなと思う。


あれだけの才人で、また自己批判できるストイックな精神性は、全くもって作家の気質だ。


政治より笑いの方が世界を変えられるというような発言をしていたみたいだけど、笑いより映画の方が世界を変えられるのではないだろうか。 


太田氏の映画人としての出発を心待ちにしてやまない。


六ヶ所村ラプソディー


制作年度      2006年

制作国       日本

上映時間      119分

監督         鎌仲ひとみ   

音楽        津軽三味線奏者 倭(やまと) 〔小山内薫、永村幸治、柴田雅人〕、

           ハリー・ウィリアムソン

  



Story


2004年、六ヶ所村に原発で使った燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場が完成した。

この工場の風下には豊かな農業地帯が広がっている。

隣接した村々で農業を営む人々、特に有機や無農薬で安心、安全な作物を作ってきた農家もまたこの計画を止めたいと活動している。

圧倒的な力と経済力に、普通の人々はどうやって立ち向かっていけばいいのだろうか。その取り組みを、人々の営みをそしてそれぞれの選択を見つめてゆく。    


Note


この映画に、収録されている情報はさらっとしていて、

実はかなり深いものを観るものに突きつけているように思う。

環境問題の深刻さ、原発の危険性、食や暮らしの不安や恐怖。。。

などなど色んな問題を提示してるのだが、個人的に印象的だったのは、再処理工場は一日に一億を超える利益をつくるようで、人間は一日に一億を超える産業であれば、自分の地域を破壊してしまえる事が驚きだ。


一日に一億で地域や生命を破壊するなんて、なんとも安い見積もりではないだろうか。。
馬鹿げた行為だと反省するのに、まだ間に合うので、この工場の運営をやめて欲しい。


この手のドキュメンタリーの映画を観ると、人間の愚かさに絶句してしまって何も言えなくなってしまう。こうして記事にしているのも、希望と憂鬱が入り混じった複雑な感情の中で書いている事が多くなる。 


大きな力学が働くシステムの中で人は真意を見失う歴史が、まだまだ続くのだとしたら、その問題の深刻さは収拾のつかないものだと思えてしょうがない。  

しかしこのような素晴らしい映像作品が誕生するのだから、決して全てが暗いものだけではないと思いたい。


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オルフェ  


制作年度     1999年

制作国       ブラジル

上映時間      111分

監督        カルロス・ディエギス  

音楽        カエターノ・ヴェローゾ    

出演    トニー・ガヒードパトリシア・フランサムリロ・ベニーシオ

          ミウトン・ゴンサウヴェス



Story

オルフェ(トニー・ガビード)は詩人にしてミュージシャン。

彼がギターを弾き、歌をうたうと人も動物も耳を傾け、太陽も昇ってくる。そんな彼のギターの音とともに夜が明けたころ、1人の少女が飛行機から降り立った。

少女ユリディス(パトリシア・フランサ)にオルフェはたちまちとりこになり、彼女もまたオルフェに強く惹かれていくのだが…。



Note

良い映画には、音楽の良さが不可欠な事があるけれど、この作品はまさに音楽の力が要求されていて、カエターノ・ヴェローゾの音楽は相当際立ったものだった。
リオのカーニバルでのシーンは、実際にカーニバルで演技したものが映画のシーンになっているので、本物の迫力がフィルムに収められている。
ブラジル文化の集約した日常などがフィルムになっているのではないだろうか。

サンバのリズムには恐ろしい力があって、そのシンコペーションは衝撃的なリズムとメロディーの連続だった。
A.C.ジョビンの音楽を残しながらも、ラップを織り交ぜたカエターノの音楽がなければリメイクできない、完璧なリメイクによる傑作だと思う。

チャップリンの映画の解説を、NHKの番組でボっーと観てました。


さすが、というか本当にスゴイ監督です。何というか、視点が完全にパンクだと思う。(反逆の方のパンク)


パンクミュージシャンより全然パンクという印象でした。 


モダン・タイムスという作品は、近年のドキュメンタリー映画より、ずっとドキュメントの高い内容のように思う。 当時の人は、あれをどう解釈していたのだろうか。


チャップリンの恐ろしいところは、ディテールへのこだわりのような気がした。微妙な表現を散りばめる感じなんかは、精密機械のようだった。


ちょっとチャップリンの作品に、のめりこみそうな感じ。

テレビでミッションインポッシブル2がやっていた。


ジョン・ウーのアクションさばきは、綺麗だったけど、最後の銃を蹴り上げるシーンは、なんかサッカーぽかった。


ロナウジーニョのフィールドワークって、そう考えると、ハリウッドのアクション映画よりエキサイティングかも知れない。(サッカーと映画を一緒に考えるなんて、ナンセンスな事だけれど。)



リュック・ベッソンの「アンジェラ」はパリを舞台にしていて、パリをモノクロで撮るとホント綺麗だなあと、改めて感じる。 


そして男と女が良く似合う街。 



映画自体は特に何もない映画だったので、ふらりと観るには丁度良い感じ。 ベッソンには、あまり期待をしてはいけないが、この作品は後味の良い映画だった。



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美しきセルジュ   


制作年度     1957年

制作国       フランス

上映時間      99分

監督        クロード・シャブロル        

出演    ジェラール・ブランジャン=クロード・ブリアリベルナデット・ラフォン

クロード・セルヴァル




Story

病気療養のためパリから生まれ故郷の小さな町に帰ってきた青年フランソワは、幼なじみのセルジュが酒浸りの荒れた生活を送っているのを見てショックを受ける。

かつて周囲の期待と羨望を一身に集めていたセルジュは、大学進学前にガールフレンドのイヴォンヌを妊娠させて進学をあきらめ、そのまま結婚してしまった。。。



Note

ヌーヴェルヴァーグの先駆けとして、扱われてるいるこの作品は、意外と印象は古典的なフランス映画という感じだった。
テーマとかストリーも文学的な感じがするし、映画としてクオリティが高いので自主映画の印象がなかった。全体的にみてクラシカルな映画だったような気がする。
この作品を皮切りに「いとこ同志」を撮って、トリュフォーやゴダールたちが活躍していくのだから、なんとも意味のある作品だと思う。


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柔らかい肌   

   


制作年度     1963年

制作国       フランス

上映時間      118分

監督        フランソワ・トリュフォー

出演        ジャン・ドザイー 、フランソワーズ・ドルレアック 、ネリー・ベネデッティ 、

サビーヌ・オードパン 、ジャン・ラニエ



Story

ピエール・ラシュネーは文芸誌の編集長で、評論家としても有名だった。

妻フランカと娘と暮らす生活も順調そのものに見えた。ある日、ピエールはリスボン行きの飛行機で若いスチュワーデスに目を留める。そしてホテルで彼女に出会ったピエールは、食事に誘い、自然に関係を結んだ。彼女の名はニコル。パリであわただしいデートを重ねていたピエールは、田舎町ランスに講演で招かれた機会にニコルとゆっくり過ごそうと計画する。.。。。。。 


Note

こんな綺麗な女性なら、ほとんどの男達は不倫に突っ走っていまうのではないだろうか。

この映画の魅力はなんといっても不倫相手役のフランソワーズ・ドルレアックで、この女優の美しさがなかったら、成り立たないような映画、昼のメロドラマとほとんど違いがないようなストーリーのような気がする。

トリュフォーのフレーミングや光の美しさが圧倒的な為に、どうでもいい物語でも観るもの者を魅了をさせてしまうんだろうなあ。
田舎町の宿でのシーンでは、ロマンティシズムとエロティシズムが同居した繊細なトリュフォーのセンスがイイなあと思う。


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髪結いの亭主     


制作年度     1990年

制作国       フランス

上映時間      80分

監督        パトリス・ルコント

出演        ジャン・ロシュフォール 、アンナ・ガリエナ 、ロラン・ベルタン 、フィリップ・クレヴノ  



Story      

どもの頃のセクシュアルな幻想から、女性の理容師にあこがれを持ち続けたアントワーヌ。中年にさしかかった彼は、ついに念願の理容師マチルドと結婚する。


Note

日本語で髪結いの亭主というと、いわゆるヒモの事を指すようなニュアンスだが、この映画はその意味合いと、本当に髪結いの亭主になった男の話。

フランス語でもそういうニュアンスなのかな??
男にとってある種のパラダイスのような設定であるが、
またまた、この限りのある幸福はルコント的で良い映画だと思う。