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Kierkegaard
(マヤ誕である・・・真澄さまは、少年時代から現在までかっこいいのである、突っ込みどころ満載の彼が私は大好きである、まあいろいろと遊べるし大好きなのだ)

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あれは15の早春だった・・・

中高一貫だから、入学より、進学でさしたる感傷などないはずなのに、空にたなびく一条の飛行機雲を俺は見つめていた。

頬に触れる風の冷たさは気にならなかった。

梅の花びらが風に舞う。

それは薄紅で、紅梅の花ではなかった。

一足さきに大人の醜さを知り、人は仮面をかぶっているのだと知った。

上っ面の仮面を俺は醒めた目で見ていた。

それなのに、蒼い空にたなびく一条の雲が、やがて消えていく雲に俺は、何を思っていたのだろうか。

宇宙(そら)に瞬く星が欲しかった、地上の星よりも、ちいさな輝きを欲しがって手を伸ばした、子供の俺。

早春の蒼穹に俺は、手を伸ばした・・・

マヤは、傍らでねむっているはずの真澄が、上体を起し物思う姿を目にした。

子供のように目を輝かせ星のことを話すときの瞳でなくて・・・

「速水さん・・・」

「マヤ、すまない起こしたか」

「いいの、眠れないの?」

「・・・何でもない」

マヤは、真澄の顔に手を添えて、しっかりと見つめた。

真澄はマヤを抱き寄せた、マヤの手が真澄の背中に回る、あなたも、わたしもひとりじゃないと確認するように。

魂の孤独はときおりやってくる、でも、それを癒すのは、自分の魂の片割れであるあなた。

15の早春・・・、惜別と新生の区切り、俺は、あの時・・・

俺は、手に入れた、自分の魂の片割れを、こうして俺の時折倦む心を癒すのは、マヤ、お前だけだ。

抱きしめる腕に力が込められ、マヤは真澄の額に口づける、あなたの心が癒されるように祈りを込めて。

私は幸せになると亡き母に誓った、そして、あなたを幸せにするとも。

ぬくもりを分かち合えばいい、そう、マヤは思った。

マヤの瞳が閉じられ優しい口づけが真澄から与えられ、二人は朝まで互いのぬくもりに抱かれ眠るのだ。

外は冷たい雨が降るそんな二月の日だった。

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Kierkegaard
(もしかしたら画像がきえるかもしれないので、下書きである)