ご訪問ありがとうございます。

Kierkegaard

その前の話 その1 その2 その3 その4 その5 その6  その7  その8
その9 その10

AとB、A’とB’の二組が存在する、時間のバグは修正されねばならない。

だが、マヤよりも真澄の方が早くこの時代に飛んできたのだ、30分の空白、それはまた別の歪を発生させる。

30分の喪失がもたらすものは、死なのか、銃口が狙うのは、AとBだった。

「速水さん」

「マヤ」

「我々が欲しいのは月の娘であり、一人の少女だけだ」

ルガーとワルサーの照準が、二人の頭を狙う、そして銃弾が音とともに、スロー再生されるように二人へ向かう。

マヤと真澄は互いの想いが通じ合ったのだ、だが、それはバグとして処理されるのだろうか、二人の手は固く結ばれている、目を閉じその時を待つ。

弾は確かに二人の頭を打ちぬいた、衝撃で体が揺れる、だが、弾はそのまますり抜けた。

「どういうことだ!」

「速水さん」

「マヤ」

「お兄様」

「マヤ」

少尉は、動揺する隙を見逃さない、自身の短銃で、正確に狙いを定め、打ち抜く、急所である場所を。

混乱と喧噪、二組は互いに手をとって、離れを抜け出す。

「追え!」

「こっちだ」

少尉は、車に乗り込むが、少女をマヤと真澄に託した。

「俺は、この車で彼らをまくから、君たちはこの屋敷に隠れていてくれ、あとで必ず戻る」

「わかった、でもどこへ隠れる」

「マヤが知っている」

B'は、真澄とマヤを屋敷の隠し部屋へ案内する、離れを建てた棟梁によるもので、内部は離れとまったく同じ仕掛
けがなされていた。

離れの天井に施されたものと同じ細密画が天井に描かれている。

夜は月の光を受け、現代でいうところのプラネタリウムに、そして、朝陽をうけ描かれた世界は。

「彼らが、君を狙うのはこのせいか」

「不死の秘密が、欲しいのだわ」

「月の娘というのは・・・」

続く その12

TVのバラに見入って、更新が・・・。