FOSTEX FE83-Sol おばあちゃんのスピーカー
かねてより「おばあちゃんの部屋にありそうなスピーカー」というコンセプトで
自作スピーカーを作ってみたいと思っていて、去年の秋頃からちょっとずつ材料を
買ってきては制作するというスタイルで作り続けていました。
この度やっと完成しましたので、ざっくり制作過程を振り返りつつ、初お披露目です。
奇をてらわず、スピーカーユニットの取説に記載されている標準のバスレフ図面通り制作開始。
板のカットはホームセンターでしてもらい、穴は糸ノコ盤を使用し、自分で開けました。
木工用ボンドを塗って、パワークランプでギュッと挟んで接着すれば、箱の出来上がり。
あと、目止め。
バーズアイメイプルの突き板60cm×60cmを2枚購入。
突き板は型紙を作って、木目の良さそうなところを各部位ごとに切り分ける。
突き板はすぐに丸まるので、仮止めしてからローラーを使用し、
薄く均一に木工用ボンドを塗り塗り。
箱にも塗り塗り。木工用ボンドが乾いて透明になったところで突き板をのせ、
家庭用アイロンで熱圧着。
アイロンをあてすぎるとバーズアイメイプルの突き板は容赦なくひび割れしてくるので、
まずは背面で練習。
突き板にメープルのオイルステインを塗り、おばあちゃん色にする。
ハケで塗って、布で拭き取り乾かすこと計5回。
車屋さんにクリアー塗装をしてもらい、1日乾かしてからペーパーで磨く。
これを3回繰り返し、、4回目の塗装後はお風呂場で水研ぎし、
最後にポリッシャーとコンパウンドでトゥルントゥルンの鏡面仕上げにしてもらう。
吸音材として底面にフェルト、側面・背面・天井にウールを貼り付ける。
背面に穴を開け、スピーカーターミナルを取り付け、配線、そしてこのあと先端に平型端子を装着。
いよいよユニットの取り付け作業へ。
ドリルで小さめの穴を開けておき、ネジで箱に取り付ける。
ネジの色は金色がいいなと思っていたのだけど売ってなかったので、
銀色のネジに金メッキ風の塗装を施す。
なぜならおばあちゃんに似合う色は金か銀かで言えば、金だから。
黒いバスレフポートも思い切って、金色に。イメージはトランペット!
そう思うと「この穴から凄くいい音が出てくるのでは?」と勝手に想像力も膨らむ。
ユニットとバスレフポートの取り付けが完了し、8cmフルレンジスピーカーの完成!
今までいっさい触れてこなかったけど、その後、卓上スタンドもひっそりと完成!
スタンドに乗せてみる。いいんじゃないでしょうか。おばあちゃん臭が漂ってきて。
杢目がたくさんあるバーズアイメイプルは、
年輪を重ねてご神木のようになったおばあちゃんとよく似合う気がする。
ちなみにバーズアイメープルはヨーロッパでは古来より『幸せを呼ぶ木』と言われ、
イギリス王室の建築や高級自動車ロールスロイスの内装に使用されていることでも有名。
しわしわのおばあちゃんに照明を当てると、より立体感がでて味わい深くなるように、
バーズアイメイプルも照明を当てると立体感がでて、とても味わい深くなる。
そこがおばあちゃんとバーズアイメイプルの共通点だと勝手に思っています。
背面はこんな感じ。
おばあちゃんのスピーカー、全貌。
部屋に大きな古時計とかありそうなおばあちゃんの部屋に似合いそうな佇まい。
(写真では大きく見えるかもしれないけど、卓上用なので実物は小さいですよ)
完成後、毎日Amazonプライムミュージックでジャズやボサノバのプレイリストを聴いていますが、
静まり返った深夜に小音量で聞くと、心地よい音色が何もない空中からふわ~っと聴こえてくるような感じが
とても心地よく、貪欲にいつまでも耳を澄まして聴いていたい気分になります。
これが『8cmユニットの気持ちよさ』なのかと。
自作スピーカーは余計な手間をかけなければ安く作れますが、
やたらと余計な手間をかけられるところも自作スピーカーの良いところだと思います。
もしこの記事を見て面白そうだなと思った方は、是非チャレンジしてみてくださいね。
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もうすぐ発売されるFE88-Solの音色も気になる今日このごろ。