<27th Dec Sun>

イングランド北部では洪水で大変なことになってますが、ロンドンは平和で気温も10度以上あってマイルド。今日は一日中家でごろごろできる最後の日でしたが、ついYoutubeで日本のテレビ番組を観てしまいました。「徹子の部屋」で年配ゲストを結構観たのですが、70歳越した女性タレント、皆さん若くて綺麗! 整形? それとも、やっぱり日本人(特に女性)は若く見える? 

-------------------------------------------



今年は一体いくつオペラやコンサートに行ったのかまだ数えてませんが、最後のオペラはチャイコフスキーのオネーギン。16日のリハーサルはすでにアップしたのですが(→こちら )、19日の初日に又行きました。


新聞評は4ツ星と3ツ星混じりで、パフォーマンスに注目すると4ツ星でしょうが、プラダクションも考慮すると3ツ星しかもらえないでしょう。演出は先回のプレミエで不評だった点を少し変更したとのことで、そう言えば、主役二人の分身をダンサーが踊り演じる部分が少し減ったような。でも、それでもまだ邪魔臭い存在で、観てる人を混乱させるだけのこのアイデア、私は嫌いです。オーソドックスにやっても充分ドラマチックなんだから、普通にやれパンチ!  カスパー・ホルテンはなかなか良かった前回の新品オネーギンをオシャカにして自分の考えを押し付けるために無理矢理これに変えたに違いなくて、どのプロダクションもワンパターンで説明過剰気味のホルテン演出はオペラの良さを引き出すとも思えないので、彼がROHのオペラ監督を辞任したことはグッドニュースでしょう。



もう一つ、このプロダクションが普通と違うのは、オネーギンの心の葛藤を描くのがテーマらしく、オネーギンが必要以上に舞台に出てる場面が多過ぎることで、例えばレンスキーが決闘の前に歌う聞かせどころのアリア「クーダ・クーダ」でオネーギンが憂い顔でうろうろするのは邪魔だし、タチアナが嫁いだ貴族の屋敷の舞踏会はオネーギンが酒と女に溺れながらもレンスキーを殺したことにずっと苦しむという場面に変えられちゃってます。両方とも具体的に見せなくてもわかることですよね。


でも、オネーギン偏重のこの演出、今回は奇しくも功を奏したかもしれません。なんと言っても、脳腫瘍のディミトリ・ホロストフスキーの登場が一番の注目ですから。



カメラ以下の写真はクリックで拡大)



Music Pyotr Il’yich Tchaikovsky

Libretto Pyotr Il’yich Tchaikovsky
Director Kasper Holten
Set designer Mia Stensgaard
Costume designer Katrina Lindsay
Lighting designer Wolfgang Göbbel
Video designers 59 Productions
Choreography Signe Fabricius
Conductor Semyon Bychkov
Eugene Onegin Dmitri Hvorostovsky
Tatyana Nicole Car
Lensky Michael Fabiano
Olga Oksana Volkova
Prince Gremin Ferruccio Furlanetto
Madame Larina Diana Montague
Filipyevna Catherine Wyn-Rogers
Monsieur Triquet Jean-Paul Fouchécourt

ホロ様のカーテンコールは、予想通りのスタンディング・オベーションクラッカー 
たとえ散々な出来でもきっとそうなったでしょうが、ホロ様はエネルギッシュに歌い演じて、立派なパフォーマンスでした。シグナチャー・ロールとも言えるこの役でROHでの(おそらく)最後の出演を観られて良かったです。

他の歌手が皆さん上手だったのも、ホロ様には嬉しいことだったでしょう。



      


    


        


レビューでもカーテンコールでも一番評価が高かったのはテノールのマイケル・ファビアーノで、美声ではないけれど、立派な声量と正統派歌唱で迫力ありました。


タチアナ役のニコール・カー、はにかむ表情が若々しくてチャーミングだし、あまりメリハリはなくても心地良く響く声は大いに気に入って、「こういうタチアナを待ってたのよ」、と諸手を挙げて高く評価しましたが、なんだかんだ文句つけてる批評家もいたのが解せない私。


   

グレーッミン公爵はフェルッチオ・フルラネットなので当然上手だとして、ムッシュー・トリケ役で味のあるジャン・ポール・フォシェクールは大好きなテノールだし、オルガのオクサナ・ヴォルコヴァも適材だったし、お母さんのダイアナ・モンタギューと乳母のキャサリン・ウィン・ロジャースの二人の英国人ベテランも光ってました。ちょっと前までENOの美人花形ソプラノだったウィン・ロジャースがすっかりおばさんになってしまったのはショックでしたが、歌はますます上手になってました。


    

  

そして、豪華メンバーのとどめは、指揮者のセミヨン・ビチコフ。彼が振ると、手堅いだけじゃなくて流れるようで深みもあるオケ演奏になるんですよね。


今回初めて正面(立見)から観て、プロダクションの構成も意図もよくわかったし(ますます嫌いになったけど)、レベルの高いパフォーマンスとホロ様の件で思い出に残るオネーギンになりました。



旗ところで、

1月7日のオネーギンの切符が一枚だけあるのですが、ご興味ある方はいらっしゃるでしょうか? 私はすでに2度観てますので、観たい方にお譲りします。売れ切れてますので、リターンするのは問題ないのですが、赤の他人に取られるのは勿体なくて・・。

ホロ様が最後の2回はキャンセルしてしまったので、この日のオネーギン役はルチンスキーというどうってことないバリトンなのが残念ですが、脇役に至るまで上手な歌手が勢揃いですから、楽しんで頂ける筈。ストールサークル真正面の立見で13ポンド。値段の割りにお得な席で、全く見切れず完璧に見えて、音も抜群です。

ご希望の方は以下にメール下さい。尚、切符は当日ROHでお渡しします。

      tsubakihimelondon あっとまーく yahoo.co.jp



人気ブログランキングへ