<30th Apr Wed>

地下鉄スト真っ只中でしたが、大した問題もなくオペラハウスに着けて、椿姫のマチネを楽しみました。最寄駅までは行けず、ウォータールー駅からテムズ河を歩いて渡りましたが、お天気よかっただったので良いお散歩になりました。


右の写真は、帰り際に見掛けたサイモン・キーリーサイド父子のサイクリングの後姿。ROHの中に自転車置いてあったんでしょう。クリックして拡大して下さいね。


明日明後日は仕事で、夜も両方コンサートなので、今日のうちに椿姫を片付けてしまいましょう。明日はイエスティン君、明後日はトビー君と続いて幸せ~!チョキ

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ひらめき電球

まず、椿姫に関して、ご存知ない方にお知らせですが、5月20日の椿姫がROHとしては初めてオンラインでライブ・ストリーミングされることになりました(→こちら )。私はその日は生パフォーマンスを観に行きますが、都合がつけば是非どうぞ。今回の椿姫は2チームあり、ヴィオレッタはディアナ・ダムラウとアイリーン・ペレス。5月20日にオンラインで観られるのはアイリーンの方なのがちょっと残念ですが・・・。


私はアイリーンの第二チームはまだ観てないのですが、第一チームのダムラウを4月21日、24日、30日と3度観ました。以下の写真はそれぞれの側から撮ったのが混じってます。




Director
Richard Eyre
Revival Director Daniel Dooner
Set designs Bob Crowley
Lighting design Jean Kalman
Director of movement Jane Gibson


Conductor Dan Ettinger
Violetta Valéry Diana Damrau
Alfredo Germont Francesco Demuro
Giorgio Germont Dmitri Hvorostovsky
Baron Douphol Michel de Souza
Doctor Grenvil Jihoon Kim
Flora Bervoix Nadezhda Karyazina
Marquis D'Obigny Jeremy White
Gastone de Letorières Luis Gomes
Annina Sarah Pring
      




ROHには珍しくカーテンコールは各インターアルごとにあり、でも最初の2幕はほんの数秒づつなので、そうと知っててカメラを構えてないと見逃してしまいますが、嫌という程観てる私はしっかりスタンバイ。


ヴィオレッタは最後のカーテンコールだと死ぬ場面の寝巻き姿&死に顔メイクなので、こうして美しい夜会服でちょっとポーズ取ってくれるのが嬉しいです。2回目に観た時は、拍手に気を良くしたのかダムラウがいつもより長い間ポーズを取ってくれたので、良い写真が撮れました。



    


2回目の短いカーテンコールは、幕が開くと「おお~っ!」と拍手が起こるほどゴージャスな舞台セットと衣装のパーティ場面で、その次の暗く淋しい死に際のアパートとの対比が素晴らしいです。私の席からは上半分が見えなくてすみませんが。



                ↓ これは是非クリックで拡大して下さいね。

    



色んなトラヴィアータ観ましたが、このプロダクションが一番美しいと思ってます。日本でも引越公演があったのでご覧になった方もいらっしゃるでしょうが(代役騒ぎで大変だったんでしたよね、たしか)、ドレスも素敵で、きっとヴィオレッタ役のソプラノの誰もが気に入るでしょうし、ちょっと太目のダムラウでもそうは見えないデザインなのも利点。NYメトのモダン版のように大根足も見なくて済むし(これはポポコさんのことです)。



↓ 最後のカーテンコールは幕も下りたままの暗い中で4人だけ(パンクヘアのニイチャンは指揮者)。


     


     

     



     

ディアナ・ダムラウは、去年7月のウィグモア・ホールのハープ王子とのコンサート(→こちら )以来ですが、オペラではキャンセルされてばかりで本当に久し振り(4年前の「愛の妙薬」以来かも→こちら )。


いつも溌剌として元気溢れるダムラウ嬢が果たして結核で死ぬ薄幸の美女をどう演じるか。ちょっと前にNYメトのヴィオレッタをラジオで聴いたことがあるのですが、やたら勢いがついてて、「うわーっ、こんなヴィオレッタいやだなあ」、と実は心配してたんです。


     

で、最初に観た時は、歌はもちろん文句なしに上手だけど、今までの他のヴィオレッタよりはたしかに元気があり過ぎて、死ぬ場面のうんと大袈裟な演技も「ちょっとやり過ぎ」、と違和感ありました。彼女の熱演に比べて他の人たちが冷めてたので余計浮いてたし。

わざと大袈裟に演じようとしてるわけではなく、彼女のキャラでヴィオレッタになりきるとどうしてもこうなってしまうんでしょうけどね。

     


でも、2回目は、喜怒哀楽がさらに大袈裟だったのですが、観てる私が彼女のペースに巻き込まれたのか、ドラマチックで熱いヴィオレッタにぐいぐい引き込まれましたクラッカー これだけ何度も観てると、ヴィオレッタは死ぬのが当たり前、あまり可哀相とも思わなくて、歌唱力ばかりに注目してしまうのですが、久し振りに心を揺さぶられて、涙がでました。


もちろん、感動したのは大袈裟な演技にマッチする素晴らしい歌唱あってのことで、私の大好きなダムラウの透き通った美声が大胆且つデリケートで変化に富み、迫力と繊細さを兼ね備えて、ずっと「凄~い!」っと感心しっぱなし。


新聞等の評価が大きく分かれたのも、歌唱にケチ付けられる筈はないので、彼女の演技の好き嫌いによるものに違いなくて、気に入らなかった人の気持ちもわかるのですが、私のように2度、3度観れば、絶対にダムラウ・ヴィオレッタの虜になる筈。


今までにこのプロダクションで、ネトレプコ、ゲオルギュー、フレミング等のスター歌手がそれぞれの個性を生かして魅力的なヴィオレッタを歌い演じてくれましたが、私はダムラウの声が一番好みというだけではなく、全ての面で(体型以外は)ベストと思います。


やっぱり、笑顔が似合って明るいダムラウはコメディの方がぴったりなので、セヴィリアの理髪師、連隊の娘、オリー伯爵とかで観たいですが、いわばそういうのは予想がつくわけで、今回は彼女の新しい面を発見できたのが大きな収穫。


     




     


アルフレード役は、これまで、カウフマン、グリゴーロ、カレヤ等、有名テノールが歌ってくれてるのですが、今回は知名度では劣るフランチェスコ・デムーロで、ROHにはジャンニ・スキッキ以来2回目。その時はあまりに短い出番だったので判断が下せなかった覚えがあります。


このトラヴィアータ、1回目は(初日ではなかったですが)、大スターダムラウの相手役で緊張してたのか、まっすぐで輪郭のはっきりした私好みの声と丁寧な歌唱で好感持ちましたが、「もうちょっと声に肉がついてたらいいのに」とか、「演技がやけにおとなしくて、派手なダムラウと全くバランス取れてないし」とか、ダムラウの相手役にしては格下過ぎるのではないかとちょっとがっかり。顔は悪くないけど小柄で男性的魅力に溢れてるとは言えないデムーロとダムラウとの間にはケミストリーも無いし、ダムラウの相手に相応しいカリスマのあるテノールを配して欲しかった、とか思ってました。


でも、観る度に声も強くなり演技もダムラウにつられたか熱くなってきて、端正な歌唱でますます好感度アップし、ダムラウにマッチするレベルには達しませんでしたが、なかなか良いじゃないの、というところまで私の評価は上がりました。一流歌劇場で一枚看板で客は呼べないでしょうが、どこに出ても足を引っ張ることはないでしょう(人材不足のテノールが足引っ張ることが多いんです)。

     



   


アルフレードの父親役はまたロシアの銀髪男ディミトリ・ホロストフスキー(以下ホロ)。

このブログを読んで下さる方は、私がいかにホロを愛しているかをご存知でしょうし、ここにきて急に意見が変わるわけもなく、まあ予想通りのジェルモン・パパだったのでこれ以上はあまり書きたくないのですが、


初日は彼が登場しただけで拍手が起こったそうだし、熱狂的な大ファンも多いホロ様を見てると(あら、急に様がつくわけ?)、要するにオペラ歌手って上手下手より好みの問題なんだとつくづく・・。彼が好きな人には、どんなに息継ぎが苦しそうでも、メリハリのないワンパターンな歌い方でも、他の人が歌ってるときはやる気のない表情してても、ホロ様は素敵な王子様なんでしょうね。


私にも対策はあり、今回は3回のうち2回、彼が一人で長々歌う場面は幸い居眠りすることができました。


でも、「嫌いって言うわりにはたくさん写真撮るのね~」、と人に言われる程たくさん撮り(音を出さないホロ様はそりゃ素敵ですもんね)、彼が一番表情豊かで面白かったので、何枚か貼っておきますね。

     

     

     


ダン・エッティンジャーという若い指揮者を見るのは初めてですが、一回目はやたらペースが遅くて歌手がイライラしてたりして、こいつ下手くそだな~とも思ったのですが、彼も回を重ねる毎にスムーズになりテンポよく進みました。


もう一回ダムラウ組を観られることになりそうですが、その前に来週はアイリーン組に行きます。夫婦共演ですが、ご主人のコステロ君の大ファンなので楽しみラブラブ パパはサイモンなので、木目細やかに演じてくれるに違いないですしね。




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