<8th Nov Wed>

今夜、やっとSkyfallを観てきました。23作目にしてジェームス・ボンドの最高傑作と評判のこの映画、ネタバレはしませんが、007映画50周年を飾るには今まで以上の大スケールでドドーンと派手にぶちかますのかと思いきや、原点に戻り視点を変えた展開で違う緊張感があり、新鮮でした。そして、007映画に不可欠な要素はちゃんと押さえながらも 英国がたくさん出てくるのでこれもイギリス万歳イヤーの一環でしょうか? ロンドンの地下鉄や私の会社のすぐ近くのビルも登場して親近感たっぷりでしたしね。

英国人が誇りを持てるということでは、こないだ行った若いイギリス人ピアニストも素晴らしかったので、今日はその話題にしましょう。

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聴きに行った全てのオペラやコンサートについて書き残すヒマはないけれど、10月31日、「おおぉ~っ、この子のことは絶対書かなかんDASH!」、と名古屋弁で感激したピアノ・リサイタルがありました。


サウスバンクのインターナショナル・ピアノ・シリーズで、中ホールであるQueen Elizabeth Hallだったので早くから売り切れになってたようですが、今回の大成功により、次回はきっとキャパの大きなロイヤル・フェスティバル・ホールでしょう、そりゃ。
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
ベンジャミン・グローヴナー君は今20歳ですが、2004年、僅か11歳の時にBBCヤング・ミュージシャンのピアノ部門で優勝(私はぶっちぎりで彼がベストと思ったけど、総合優勝はヴァイオリン美少女ニコラ・ベネデッティ)。

その時のことはよく覚えていて、「どうしてこんなガキンチョが、手も小さいだろうに、こんな上手に弾けるわけ!?目」、とテレビを観ながらびっくり仰天したものです。Youtubeに一部出てますので、→こちら 映画でどうぞ。


ピアノ教師の母親に6歳から手ほどきを受け、5年後には凄い腕前になってしまった天才君は、その後順調に成長し、13歳でカーネギー・ホールにも出演し、名門Royal Academy of Musicを優秀な成績で卒業したばかり。

私は小さい時からウォッチしてたので、テレビのインタビュー番組などに時折出たのを見てましたが、知名度がぐんと上がったのは、去年のプロムスのファースト・ナイトでしょう。


       London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


その彼をやっと生でじっくり聴く機会が訪れたわけですから、気合を入れて良い席を確保して長い間楽しみにしてました。こないだのROHのガラと幸い一日ずれたのですが、もし同じ日に重なってたら、私はベンジャミン君を選んだと思います。やっぱり生で聴かないと、音色はわからないですから。


そして、期待はかなり高かったんですが、それを上回る演奏を聴かせてくれて、私は大ファンになりました。若くて上手なイギリス人ピアニストを応援できるのは格別。     


クリップ

Benjamin Grosvenor piano


Johann Sebastian Bach: Partita No.4 in D for keyboard, BWV.828
Fryderyk Chopin: Polonaise in F sharp minor, Op.44
Fryderyk Chopin: Andante spianato & Grande Polonaise brillante, Op.22
Interval
Scriabin: Selection from Mazurkas, Op.3
Alexander Scriabin: Valse in A flat, Op.38
Enrique Granados: Valses poeticos
Adolf Schulz-Evler: Concert arabesque on themes by Johann Strauss from Blue Danube transc. for piano

クリップ


一見、とりとめのないごった煮プログラムに見えますが、実はダンスがテーマで、なるほど、そういう括り方もあるのかと感心。


最初のバッハはなんだか弾んでて、もうちょっと落ち着いた感じの方がいいかなとも思いましたが、若さ溢れる演奏は新鮮。真横から手もよく見えたのですが、大袈裟な表情など作らなくて淡々とピアノを見つめて弾くだけなのですが、どんなリサイタルになるんだろうとワクワク。


そして、次のショパンでぶっ飛びましたロケット  

そこまで期待してなかったけど、なんと、ほとんどキーシンの神業に迫ってるじゃないですか! キーシンほど左手は強くないですが(key神には誰も勝てない!)、若い男性が渾身の力を込めて叩く鍵盤の迫力といったら・・・。


          London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


そして、後半の変化に富んだプログラムを難なくこなし、正確さと力強さではキーシンに適わないけど、キーシンの機械のような冷たさと比べると(それはそれで素晴らしいのけど)、ベンジャミン君はリズムも弾き方もなんだか温かいものを感じました。


クラッカー拍手喝采とスタンディングオベーションに気を良くしたベン君は紅潮しながらアンコールを3曲弾き、聴いたことのないものばかりでしたが、もの凄いテクニックをこれでもかと披露してくれて、観客は大喜び。美青年ではないけど好青年で華やかさとカリスマ性もあり、お祝いイベントのピアニストというと、お祭男のランランがしゃしゃり出て出演してくれることが多いけど、もうこれからは地元イギリス人のベンジャミン君に出てもらえばいいよね~チョキ


さて、このベンジャミン君とタイプが似てるキーシンのリサイタルが来週あり、もちろんバービカンでかぶりつきますよ~にゃーラブラブ 去年はいまいちだったけど(一昨年は素晴らしかった)、さて今回の出来はいかに? キーシンくらいになると、時には不調でもファンは離れないけど、そこまでの地位を確立していないベンジャミン君はまだ一回一回が勝負で、毎回唸らせないといけないので大変でしょうが、さらに上達してキーシンやアンスネスと並ぶ日も近いかも。頑張れよ~っ!!

          London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)



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