<14th March Wed>

近くで働くムスメが又夕食に来てくれました。トーチャンのクッキーは健在でしたが、食事は会社に配達してくれるお弁当にして手抜きしちゃいました。手描きの母の日カードをムスメからもらいましたが、日曜日の母の日まで封を開けずに待たないといけないですね。早く来い来い、日曜日~ブーケ1

ルサルカはどうしたの? ナタリー・デセイはまだなの? 昨日はポルーニンのバレエも観たよね?はい、でも、怒り心頭の新作オペラMiss Fortuneをまず先に。

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

一昨日初日だった新作オペラMiss Fortuneの批評が続々と出てますが、その日に私も観てるので、一言怒りをぶちまけたいですパンチ!


ROHではプレミエでも、新作とは言っても去年すでにブレゲンツ湖上オペラでやってるのでプロダクションの写真は見てましたが、なるべく白紙の状態で接しようとストーリーも最低限だけ調べて初日に臨んだのですが、


フレッシュな見方どころか、今までに観たオペラで一番退屈と言えるほどのひどい出来ダウン


どんな話かというと、シチリアのおとぎ噺が基なんだそうですが、

親(Lord & Lady Fortune)が財産をなくしたので働く羽目になったになったお嬢様育ちのMiss Tina Fortune、働く先々で不運が起こるので、背後霊のように回りをうろうろしてる「運命」Fateに文句を言ったら、宝くじの当たり券が手に入るようにしてくれて、でもその当たりくじを捨てたのか、或いはちょっとの差で当たらなかったか不明だけど、金持ち男に見初められてまた金持ちになりそうな気配。彼女は一時は不運misfortuneに見舞われたけど、結局はfortune(幸運と富)に恵まれているのかも、という運、不運がテーマのようで、fortune, misfortuneという言葉のアヤがジョーク。


でも、リブレットがうんんとつまらないし、話の運び方もまずいので、あまりの退屈さに居眠りしてたこともあり、展開がよくわからず。でも、たとえもう一度観て筋についていけたとしても、登場人物が誰も生き生きしてないので共感も同情も全く感じられず、どうでもいいって感じ。


しかし、オペラなんだから、どんな荒唐無稽な話でも音楽が良ければOKって椿姫さんいつも言ってるじゃないですか?

その通りです。だけど、これが一番救いようがないくら平坦なんだから、もう苦痛でしかなくて、じっと座って聴いていることができず、頭をかきむしりたくなったほどプンプン


それでも私はカーテンコールの写真を撮るために長く感じられた2時間(オペラとしては異常に短い)を最後まで我慢しましたが、斜め前に座ってたImtermezzoさん(有名なオペラブロガー)はなんと幕間に帰ってしまいました(→こちら )。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
Composer and librettist Judith Weir
Director Chen Shi-Zheng
Set design Tom Pye
Costume design Han Feng
Video design Leigh Sachwitz
Movement Ran Arthur Braun

Conductor Paul Daniel
Tina (Miss Fortune) Emma Bell
Lord Fortune Alan Ewing
Lady Fortune Kathryn Harries
Fate Andrew Watts
Hassan Noah Stewart
Donna Anne-Marie Owens
Simon Jacques Imbrailo

Breakdancers Soul Mavericks


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


元ENO音楽監督ポール・ダニエル指揮のオケは流れるようで良かったし、歌手も(素人レベルが二人いた以外は)まあまあで、セットは素晴らしくて独特の雰囲気も出てて決して悪いプロダクションではないし、良い面もいくつかあるんです。中でも一番良かったのは始る前から話題になったてブレークダンスの男性たちで、こんなに上手なブレークダンス見たことないので、もっとやって欲しかったですが、やけに短くて、それに照明も暗すぎてもったいないったら。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


こんな音楽では歌手の上手下手を判断するのは難しいのですが、主役のエマ・ベルは立派な声量で迫力もあり主役の貫禄充分。「運命」役のカウンターテナー(アンドリュー・ワッツ)は声量不足なのでエマに蹴散らされてました。話題作りで売り出そうとしてる新人黒人テノールのノア・スチュアートは特に私好みではないけれど声はよく出てて、順調に伸びればそこそこいけるかも。

新作オペラというのはリスクが伴うものですが、これは完全に失敗作。今までROHでやった新作は全て観たけど、このオペラがぶっちぎりで最低。去年のアナ・ニコールはポップで楽しくて大成功で新作も楽しいじゃないのと思ったばかりだったのに、これでぶち壊しで、オペラ人口を増やそうと努力してる筈なのに、大金無駄使いして結局逆効果。普段はオペラに来ないような人もたくさん来てたけど、はじめて観るオペラがこれだったら、もう一生オペラは嫌われてしまうわ。


パッパーノ大将やオペラ部門のdirectorも客席にいたけど、どんな思いで観てたことやら・・・。ブーイングすら起こらず、カーテンコールはとても静かでした。

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

来週もう一回分切符は買ってあったけど、初日に一緒に行ったトーチャンはNo, thank youと言ってるし、2度、3度観るのが当たり前の私ですら、あの苦痛を二度と味わいたくないので、友人に押し付けてしまいました。これ程評判が悪いと、どれどれって気になるのかもしれません。期待が低ければ失望も小さいでしょうしね。


今、ケバブとビール付きビールでベスト席45ポンドというオファーが出てますが、たとえシャンペンとキャビアで20ポンドであっても、ずっと席にいなきゃならないのであれば、とてもお勧めできませんむっ



ROHの新作オペラと言えば、一番成功したのはトーマス・アデスのテンペスト(→こちらでしょう。私が知る限り、違うプロダクションができたのはこれだけで、来シーズンはついにNYメトでもやってもらえるんですよね。ミノタウロスも結構良かったですが、来シーズンROHでリバイバルされることが今日正式発表になりました。来シーズンのその他の演目についてはまたそのうち。



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