<1st November 2011 Tue>
遊びまくった10月は終わったけど、いま又オペラとバレエでROH4連チャンの真っ最中。今日は午前中休暇を取って家であれこれ片付け仕事してます。って、主にブログ書きですが、これだけはなるべく早くアップしようと、ドミンゴ・ガラについてざっと書いておきます。たくさん撮った写真や映像の中から選ぶのも大変だったんですよ。
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10月27日と30日に、ドミンゴ先生のROHデビュー40周年を祝うガラ公演があり、両方とも行ってきました。左右から一回づつ観たので.、写真や映像も違う方向のが混じってます(下の方の小さい写真はクリックで拡大します)。
Conductor Antonio Pappano
OTELLO ACT IV Otello Plácido Domingo/Desdemona Marina Poplavskaya/Emilia Hanna Hipp/
Lodovico Paata Burchuladze/Cassio Pablo Bemsch/Montano Jihoon Kim/Iago Jonathan Summers
RIGOLETTO ACT III Rigoletto Plácido Domingo/Gilda Ailyn Pérez/Duke of Mantua Francesco Meli/Maddalena Justina Gringyte/Sparafucile Paata Burchuladze
SIMON BOCCANEGRA ACT III Simon Boccanegra Plácido Domingo/Jacopo Fiesco Paata Burchuladze/Amelia Marina Poplavskaya/Paolo Jonathan Summers/Gabriele Adorno
Francesco Meli
降ってくる花に喜ぶドミンゴ爺
オテロ、リゴレット、シモン・ボッカネグラのそれぞれの最終幕というヴェルディばかりのプログラムで、ドミンゴ先生はテノール(オテロ)とバリトン(リゴレットとボッカネグラ)を歌いましたが、どれも特に彼の出番や聴かせどころ満載というわけでもないので、一回目は「なんだ、ドミンゴこれだけっ?! せっかく激しい切符争いに勝って喜んでたのにぃ・・」、という気がしたのですが(特に、出だしにオテロ妻デスデモーナの長い長いアリアがあり、大嫌いなポプラフスカヤが延々と歌うのでうんざりしてしまい・・・)、2回聴いたら充分聴かせて頂いたという気持ちになりました。
期待度によってドミンゴ先生の評価ははっきり分かれるのはないかと思うのですが、①往年のレベルを維持してると期待してるとすれば、そりゃ年齢的に無理な話ですから(オペラ歌手はスポーツ選手みたいなものだから)失望するでしょうし、②人間化石になってる引き際をわきまえない老いぼれ爺さんが過去の名声だけでここまで引っ張って惨めな歌唱をさらしてるに違いないと思い込んでたとすれば、かつての甘い潤いと張りは失せたものの、70を越してもこれだけできるのは凄い!ということになるんだと思います。
私は②でした。今回もやけに声がよく出てるので、彼だけマイク使用してるんじゃないのか?と最初は疑いながら聴いてたんですが、舞台からかなり近い私の席からは音源は彼自身であることがわかったので見直して、あらためて「この歳で凄い!」と驚嘆。以前から、この歳で新しい役に挑戦すること自体は尊敬してたんですけどね。
もっとも、これが普通の年齢の誰だか知らない歌手だったら、「彼、すごく上手じゃないか!」と思う人が果たしているかどうか・・・。バリトンにしては低音の魅力がないのは致命的だし、声も乾いてる。もともと、テノール好きの私なのになぜか昔からドミンゴには惹かれたことがないし。
ということで、一体誉めてんのか、けなしてるのか?
要するに歌手としては特に好きではないけど、ドミンゴ先生の長年の情熱と努力とオペラ界への貢献は尊敬を抱いてて、今回のハイライトとも言えるカーテンコールには後者の立場で拍手を送ったのでした(実際には写真と映像撮りで忙しかったので拍手する余裕はなかったけど)。一回目は横上の席からたくさん花が投げられて更に感動的で、ドミンゴ爺の喜ぶ顔もよく見えた席に座れたこと(おまけに15ポンドだし)に感謝した夜でした。
尚、先生はボリショイ・ガラにちょっとだけ出演する予定するといういつもの超人的スケジュールを組んでいたのですが、慎重を期してモスクワ行きはドタキャンしたとのこと。そうですよ、先生、無理しないで下さいね。
それに、あまりあれこれ手を広げないで、まだこれだけ歌が歌えるのですからそれに専念したらどうですか?オペラハウスの音楽監督は先生であればこそできることはまだあるでしょうが、あまりお上手とはいえない指揮は辞めてもいいんじゃないですか?
ということで、ドミンゴ先生の最盛期に私のオペラ鑑賞時期は間に合わなかったので要するにすれ違ったテノールなんですが、そんなことは通り越した偉大な音楽家のお祝い行事をまじかで目撃できたことはラッキーでした。
他の人のこともざっと書いておくと、指揮者のパッパーノはいつもにも増して超一流で(ドミンゴ指揮者にはできない芸当でしょう)、オテロとボッカネグラに出やがったポプラフスカヤはちょっと前の聴くに耐えないトラヴィアータよりはうんとましで、私の大好きなテノールのフランチェスコ・メリはいつもよりちょっと声量不足だったけどそれでも素晴らしくて、でも出番が少なくて残念。声も容姿も可憐なジルダのペレはもうすぐトラヴィアータで聴くのがますます楽しみ。