<5月10日(火)朝>

平日に思い切り朝寝坊できるって気分良いわ~! と、思いながらも、折角の休暇だ、寝ていては勿体無いから普通と同じくらいに起きてしまうんだけど、そのお陰で昨日は洋服の整理や旅行の準備が捗り、良いお天気なのに家から一歩も出なかったけど、すっきり爽快。しかし、時間があると、旅行に何を着ていこうかしらんとグダグダ迷って、なかなか決まらない。いつもなら、とりあえずその辺にあるものを放り込んですぐ終わるのに。

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オペラ三昧イン・ロンドン


5月8日の日曜日の午後、ROHにウェルテルの2回目を観に行きました。


オペラ三昧イン・ロンドン
Composer Jules Massenet
Director Benoît Jacquot
Set and lighting designs Charles Edwards
Costume designs Christian Gasc

Conductor Antonio Pappano
Charlotte Sophie Koch
Werther Rolando Villazón
Albert Audun Iversen
Sophie Eri Nakamura
Le Bailli Alain Vernhes



3日前の初日は舞台袖の3列目の席だったのですが、最近1列目以外は個々の席に付いてた電光字幕が取っ払われてしまって頭上の小さな字幕は見辛いこともあり、ほとんど字幕は読まずに至近距離から演技をじっくり観ることにして、今回はupperslipからしっかり字幕を読もうというつもりだったんです。頭を動かさなくても読める理想的な位置なので。


しかし、なんと、こんな事は滅多にないだろうけど、歌が始まっても舞台の上にあるメイン字幕が故障のようで、消えたままショック!


となれば、音だけに集中するしかないんだけど、ヴィラソンが調子悪くて・・・むっ


初日の復帰は軒並み賞賛されて、5つ星まで進呈した新聞批評もあり、そのためにプレッシャーを感じたのか、それともやっぱりまだ充分回復してなかったのに無理したのか、全力投球どころか、こないだよりセーブしてて声量はさらに低下。その上、高音がヘロヘロで、これじゃあ2幕目からは出ないかも・・・。


痛ましくて聴いてられないから、彼の歌は無視してオケだけ聴いていよう、と思ったほど。心理状態を反映させた甘い音楽は素晴らしいから。あまりにコテコテにセンチメンタルなのでウヘーっと思う人もいるかもしれないけど、私は好き。


ピストル自殺して血まみれの最後幕は再び盛り上がり、初日を同じくらいの拍手だったので、初日の狂喜に比べたらおとなしいかったとは言え(彼自身がわかっていたんでしょう)、再び嬉しそうなヴィラソンでしたが、最後は高音は不要だし歌らしい歌なんてなくて瀕死の芝居だけでもたせるわけで、芝居上手で熱血漢のヴィラソンはそりゃ得意でしょう。だけど、それじゃ本末転倒。事情も知らずに今日の歌だけ聴いて彼を超一流テノールと思う人はいるでしょうか? このままだったら、もうヴィラソンも終わりで、とてもテノールのトップグループに復帰できるレベルではありませんダウン 


というわけで、もし彼がこのまま沈んでしまうとしたら、私としてはおそらく初めて、彗星のごとく現れて一気にトップに上りつめたけど長続きできずに堕ちていくオペラ歌手の一部始終を生で目撃したということになるわけで、興味深いことです。他の日の切符は持ってないので顛末を確認することができませんが、今日のところは南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏オバケ


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン


オペラ三昧イン・ロンドン
字幕は2幕目からはちゃんと出てきたし、ヴィラソンも少し回復し、他の人はほぼ上手だったので(アルベール役のAudun Iversenは初日よりもずっと良かったし)、結局そんなに悲惨なことにはなりませんでしたが、でも、やっぱり耳直しが必要耳だわと思い、昨日は久し振りにアラーニャの全曲CDCDヘッドフォンを引っ張り出してきて、じっくり聴きました。録音は安心して聴けるからいいわ。テノールは生でハラハラしながら聴くのが醍醐味の筈なんだけど、あれだけガタガタだと悲しいから。


このCDは、パッパーノ指揮、アラーニャ、ゲオルギュー、Tハンプソン、Pプティボンという顔ぶれなんだけど、どんぴしゃのアラーニャは勿論良いけど、ソプラノで細い声のゲオルギューでは深みがないので、いかに今回のソフィー・コッホ(コッシュ?)が素晴らしいかということがあらためてわかった次第。ヴィラソンの話題ばかりだけど、今回の立役者は彼女です。これまでケルビーノ、チェネレントラ、オクタヴィアン、ブランゲーネなどで聴いてどれも良かったけど、これが一番感動的キラキラ


中村恵理さんも、高音がきれいに決まって立派なもの。張り切り過ぎのはしゃぎ演技が少々鼻についたけど。


というわけで、私の頭の中はウェルテルってて、艶っぽいマスネの音楽が鳴り響いてます。タイス、マノンもある中で私の一番好きなマスネはこれだ!


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クリップ後日追記:

この後ヴィラゾンは回復したようで、最終日を観た何人かの知り合いが「声量がいまいちだったけど高音はきれいに出ててとても良かった」と仰ってました。ということで、久し振りの本格的オペラ出演は「完全にかつての輝きを取り戻すまでにはは至ってないが、復帰は成功」ってことでしょうか。6月のNYメトの日本公演にも急遽代役で出ることになったということは本人も自身がついた証拠。