11月3日にルネ・フレミング、10日にアンジェラ・ゲオルギューのコンサートがありました。


場所も同じロイヤル・フェスティバル・ホールで僅か1週間離れてるだけなので(注:アンジェラは当初は10月3日の予定だったがアラーニャとの遭遇を嫌ってキャンセルした模様)、おまけに私はどちらも同じ最前列で一番近い席なので、どうしても比べたくなるじゃないですか?


なので、比較しながらまとめて書いちゃおうかな、と考えていたら、おや、すでに二人がなにやら言い合ってますよ。


オペラ三昧イン・ロンドン       オペラ三昧イン・ロンドン
    青コーナー、アメリカ出身、            赤コーナー、ルーマニア生まれの40代の

    50代のルネ・フレミング              アンジェラ・ゲオルギュー       


ふたご座

ルネ 

ちょっと、あなた、アンコールは私と同じ私のお父さんO Mil Babbino Caroだったんですって? ってことは私への挑戦ね。


アンジェラ 

O Mio Babbino Caro~、なんで私があなたに挑戦しなきゃならないわけ?お客はほとんど同じ人たちなんだから、同じ曲で聞き比べてみるのも面白いんじゃないかと思っただけよ。私はファンの皆様へのサービスを大事にするんだから。後半だけしか出てこなくて、やっと出てきたと思ったらアンコール一曲だけでさっさと引っ込んじゃった誰かさんと違ってね。私はちゃんとサイン会もやったわよ。


ルネ 

ふん、そんなこと言って、満席だった私のコンサートと違ってあなたのは空席が目立ったそうだから、口惜しまぎれってことが本音じゃないの


アンジェラ 

なにを仰るやら、私のは3割くらいは席が空いてたって言ったって、私の切符代の方がうんと高かったんだから、売り上げ金額なら私の勝ちに決まってるでしょ。


ルネ 

お客さん大事って言うんなら、切符代を安くするのが一番大事じゃないの?椿姫さんも言ってたわよ、「28ポンドのルネの切符はきゃーっ、嬉しいって即買ったけど、アンジェラの64ポンドにはうんと迷った」って。それにさ、たしかにあなたは前半から出てたし、舞台に立ってる時間は私より長かったでしょうけど、テノールとのデュエットも多かったし、いわば水増し。ソロで歌った時間は私の方が長かったわよ。



椿姫 

まあまあお二人とも、落ち着いて。ちょっとここで水入りにしてどんな内容だったかご紹介していい?ピンクがお二人が歌ってくれたとこです。


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<11月3日>ルネ

Sergey Prokofiev: Romeo and Juliet
Interval
Peter Ilyich Tchaikovsky: Tatiana's Letter Scene (Eugene Onegin)
Peter Ilyich Tchaikovsky: Fantasy Overture, Romeo & Juliet (vers. standard, 1880)
Ruggiero Leoncavallo: Musetta svaria sulla bocca viva (La Boheme)
Ruggiero Leoncavallo: Mimi Pinson la biondinetta (La Boheme)
Umberto Giordano: Nel suo amore (Siberia)
Giacomo Puccini: Sola, perduta, abbandonata (Manon's aria) (Manon Lescaut)

アンコール 私のお父さん(プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」) 


Royal Philharmonic Orchestra
Renee Fleming soprano
Charles Dutoit conductor

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<11月10日>アンジェラ

Leonard Bernstein: Candide - Overture 4分
Giuseppe Verdi: Parigi, o cara (La Traviata) Angela Gheorghiu & Marius Manea 4分
Jules Massenet: Pleurez, pleurez mes yeux (Le Cid) Angela Gheorghiu 6分
Charles Gounod: Salut! Demeure chaste et pure (Faust) Marius Manea 5分
Georges Bizet: Intermezzo from L'arlesienne Suite No.2 3分
Georges Bizet: Farandole from L'arlesienne Suite No.2 4分
Gaetano Donizetti: Caro elisir (L'elisir d'amore) Angela Gheorghiu & Marius Manea 3分
Interval
Pietro Mascagni: Intermezzo from Cavalleria rusticana 3分
Pietro Mascagni: Cherry duet (L'amico Fritz) Angela Gheorghiu & Marius Manea 9分
Giuseppe Verdi: Quando le sere al placido (Luisa Miller) Marius Manea 3分
Giuseppe Verdi: Overture, La forza del destino 7分
Giuseppe Verdi: Morro, ma prima in grazie (Un ballo in maschera) Angela Gheorghiu 4分
Giacomo Puccini: O soave fanciulla (La Boheme) Angela Gheorghiu & Marius Manea 4分

アンコール ①私のお父さん(プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」) ②忘れな草(カンツォ-ネ) ③グラナダ(スペイン民謡) ④乾杯の歌(ヴェルディのオペラ「椿姫」)


Philharmonia Orchestra
Ion Marin conductor
Angela Gheorghiu soprano
Marius Manea tenor

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ルネ 

ほら、私が出なかった前半だって、彼だけだって客が呼べるデゥトワがプロコフィエフのロミオとジュリエット組曲からいくつか指揮してくれたから、コンサート全体としての内容の濃さはこっちの勝ちって思う人もいるかもよ。それに、私はのっけからオネーギンの恋文アリアを長く歌い演じて盛り上げて、その後も滅多に聞く機会のないもう一つのラ・ボエームのアリアで皆さんに喜んで頂けたけど、あなたの方はありきたりの曲ばかり。その上無名のテノールにソロまでさせてさ、彼がまあまあだったからよかったものの下手だったら怒るぞ、って椿姫さんも言ってたわよ。


アンジェラ

お言葉を返すようだけど、こういうコンサートはお馴染みの曲の方が合うのよ。だからアンコールもわかりやすくて親しみのある曲ばかりにしてサービスに努めたわけよ。その証拠に、私のコンサートの最後の盛り上がりは凄くて、やんやの喝采とスタンディングオベーションとカメラフラッシュの光でぴかぴかだったわよ。あなたのカーテンコールはクールだったそうじゃないの?お気の毒にね。


ルネ

「知的」ってのが私のコンセプトだから、お客もそれなりの反応をしてくれたってことよ。だからドレスをとっかえひっかえなんていう邪道なこともしないわ。あなた、3着も着たんですって? ビジュアルで誤魔化さなきゃならない人って大変でしょうね。私だって一点豪華主義を貫いてるから実は結構費用は掛かってるけどね。立体的なデザインだから横から後ろから見る価値もあるし。


アンジェラ

楽しめるコンサートにするためにビジュアル面にこだわるのは大切よ。ま、あなたのように一着だけで勝負するっていうポリシーもいいけれど、でもせめて髪をきれいにセットして出てこなきゃ失礼じゃないの? ドレスは素敵だったのにボサボサ髪だったって椿姫さんは仲間と批判してたそうよ。


ルネ

たしかにあなたは綺麗に髪もカールして、付けまつげまでして念入りにお化粧して、ドレスに合わせてアクセサリーも全部変えて口紅の色まで合わせたのはある意味あっぱれだったけど、でもあなた最近スタイリスト変えた? ドレス全部ゴチャゴチャけばけばしかったけど。私たちくらいの年齢と格だったらシックに上品にしないとね。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン

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アンジェラ

それは自分でも実はちょっと反省してるのよ。最初の黒のドレスはガラス玉チカチカでも私の髪に色にもマッチしてよかったと思うんだけど袖口と裾の毛皮がちょっと余分だったかもしれないし、2番目の真っ赤ドレス(写真はなし)は色が鮮やか過ぎて下品だったかも。3番目のキラキラ人魚姫ドレスもここぞと張り切りすぎてバレエの衣装か安キャバレーのネエチャンみたいだった言われても仕方ないかもね。


ルネ

まあ、それほど卑下しなくても。ちゃんとシェイプアップしてすらっとしてるあなただもの、なに着ても映えるわよ。


アンジェラ

ありがとう。それはあなたも同じよ。そう私たち数年前は肥満になりかけたけど努力して克服したわよね。出産太りの誰かさんと違って。


ルネ

それで思い出したけど、5月にドタキャンしたネトレプコの代替コンサートが来年1月にあるけど、椿姫さんは行くのかしらね?私たちを差し置いて自分が今や女王様って思ってるみたいだからさらに切符代が高いんだけど→(こちら )。


アンジェラ

行かないそうよ。あの切符代でネト子一人ならまだしも、ほら共演が例のあの人だから添え物扱いにもできなくてたくさん歌わせろってことになるかもしれないのが理由ですって。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン


椿姫

はいはい、ご両人、最後は和やかに終わってよかったです。


ベテランのお二人ともまだにトップクラスであることは今年ROHの椿姫(ルネ)とトスカ(アンジェラ)で証明されましたが、どちらのコンサートでも好調な歌唱を聞かせて頂けて嬉しかったです。


たしかにフレミング女史は舞台に出てる時間があまりにも短かかったのが不満でしたが、料金の違いを考慮すれば仕方ないとも思うし、切符代が高くて辛かったゲオルギュー女史もサービス精神を遺憾なく発揮してくれて感謝です。


というわけで、費用も考慮すれば(しつこいな)、引き分けってとこでしょうか。


因みにネト子ちゃんには行かないけど、来週のバービカンのチェチリア・バルトリにはもちろん駆けつけます。楽しみ。


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