5月29日、前夜に続いてEnglish National Operaに行き、レハールのオペレッタThe Merry Widowを観ました。



    Hanna Glawari : Amanda Roocroft

    Count Danilo : John Graham-Hall

    Valencienne : Fiona Murphy

    Camille de Rosillon : Alfie Boe

    Baron Zeta : Richard Stuart



私の嫌いなソプラノが主役なので全然いく予定にはしてませんでしたが、急遽知り合いからいけなくなった切符が回ってきたんです。安い切符だから(13.6ポンド)無理してなくてもいいし、しかもこれに行くとなんと4連ちゃんになってしまうしなあ・・・と迷ったのですが、ま、嫌なら途中で帰ればいいや


というくらいの気持ちで行ったら、これがなかなか楽しめたんですよ。気の進まないお見合いでも行ってみたら案外良い相手だったりする、みたいなものでしょうか(ちょっと違う?)。



華やかなりし頃のパリが舞台で、賑やかなフレンチ・カンカンが楽しかったし、衣装も舞台もカラフルできれい~!

お馴染みのアリアもいくつか出てくるし。


全て英語にしてしまうENOですが、これは喋る台詞も多いので英語上演が普通だし、お喋りは英語でやってもらった方が助かるので、前日の薔薇の騎士で「ちがう、ちがう!言葉が音楽に乗ってない。くーっ!我慢できないわ」という気持ちにはならず、台詞はマイクも使うし、ミュージカルだと思えばいいんですもんね。


1905年初演のこのオペレッタ、ストーリーはこれ以上アホらしくはなれないというくらいのあり得なさで,少女マンガの筋書き案として提案しても「即、バツ!」と門前払いを食うことまちがいなし。


そんなの書くのも時間の無駄だから最低限にしようかと思ったら、当の本人ハンナが、「聞いて、聞いて、私のシンデレラ物語を」、と言ってますので、語ってもらいましょう。


おとめ座「貧乏人の皆さん、こんにちは。

私もね、かつては一文無しだったのよ。平民だからって、恋人の貴族ダニロとの結婚を彼の叔父さんに反対された時は今に見てろって地団太踏んだわ。それでこの美貌を武器にして大金持ちのオヤジをたらしこんで見事結婚。

そして、そのオヤジは私に全財産を残して死んでくれたんで、今パリで毎日豪勢に遊び歩いていられるのよ。なんてラッキーな私(オヤジを殺したわけじゃないですからね、誤解なきよう。少なくとも証拠はないわ、オホホ・・)

で、その財産ってのがポンテヴェドロ公国という架空の小国の財政を左右するほど巨額なんで、私が他の国の男性と結婚して海外流出したら破産だって、ポ公国としちゃ心配でたまんないわけよ。

それで、在パリ公使のツェータ男爵は、ちょうど私のかつての恋人ダニロが部下で書記官してるので、私と結婚するように命令したってわけ。私は実は今でもダニロが好きなの。彼も未練があるに決まってるんだけど、お金のために求婚するのはプライドが許さないみたい

だから一計を案じた私が他の男性を結婚するわと言ったらダニロは真っ青。そろそろとどめの一言を言ってもいいかしらね? 

「私ね、再婚したら一文無しになっちゃうの」。

それでダニロは大喜びでプロポーズしてくれたの。
えっ、遺産はなくしても愛する男と結ばれてよかったねって? 

ご冗談を。私がむざむざと財産を失うとでも思う? オヤジの遺言には続きがあって、「再婚したら財産はその夫のものになる」ってオチが付いてるのよ。これで私はダニロを手に入れたし、財産も手放さなくて済むわけ。めでたしめでたし皆ハッピー。」
                                                          
音譜パフォーマンス

プンプン私が嫌いな喉詰まりソプラノのアマンダ・ルークロフトは今日も又良いとこ無しで、肝心なアリア「ヴィリア」も高音がかすれてしまったけど、美人でビジュアル的にはぴったりだから我慢するか。

いや、あのおっとりし過ぎる棒読み台詞は、他の人の熱意あるコメディ芝居の中では一人浮いてたぞ。こんなに芝居が下手ではミュージカル歌手にもなれないしねえ、困ったね。


ラブラブ!だけど、すごい拾い物だったのは、ダニロ役のテノール、ジョン・グレアム・ホール

この役はバリトンがやることが多いと思うのだけれど、彼のよく通る凛としたテノール声と抜群の演技力だけですっかり楽しめました。
おまけに、私好みの長身で金髪(カツラには見えなかった)のすっきりしたハンサムなのよ。

かなりトウが立ってるのがナンだけど(50は軽く越してる)、若い時はさぞや素敵だったにちがいない。


とネットで検索したら、1985年のグラインドボーンの「アルバート・へリング」(Bブリテン)の可愛い主役の映像が出てきた! 

今年もグラインドボーンでこのオペラはやってて、彼が(役はちがうかも)出てるそうです。これ、ドサ回り公演でもやってくれるのかしら?そしたらロンドン郊外で見られるんだけど。

しかし、どっかで聞いた名前だ、しかも割と最近。


と思ったら、こないだROHの「魔笛ですごく上手で感心したモノスタトス役でした(パミーナにちょっかい出してザラストロに叱られるスケベ)。

でもこの役じゃあ、顔も黒く塗りたくった悪役だから彼の美貌が全然生かされないな。

ま、中年テノールは主役が少ないので、こういう脇役で光るしかないんでしょうけど。


公使の奥方に言い寄るカミーユ役は前日の薔薇の騎士にもちょっと出てたアルフィー・ボー。昨日ほど硬い不快な声ではなくなって、これは歌よりもコメディセンスで問われるので、ルックスも悪くない彼はなかなか舞台映えもしてまあまあではないでしょうか。CD買おうとは全く思わないけど。


その他の人は、ENOだから準主役になれる程度の人たちでした。なんて差別発言しちゃいけないですね。



カメラ本日のカーテンコール写真は、残念ながらこの一枚だけ 


だって、撮り始めたら、係員に怒られちゃったんです。見つからないように隠してやったのになあガーン


ENOはこの点で厳しいのも嫌いな理由の一つだ。


前日の薔薇の騎士は運よく撮れたけど、今月行くCandideのトビー君の写真、最前列から果たして内緒で撮れるんかしら?


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