3月18日、ロイヤルオペラハウスにチャイコフスキーのエフゲニー・オネーギンEunege Oneginを観にいきました。


2006年3月のプレミアを2回観ているので、オペラやプロダクションについてはそちらをご覧頂くとして(→1回目 /→2回目 )、今回は先回と比較をしながらパフォーマンスのみについて書いときます。


メモ今回のキャスト等はこちら


Revival Director Elaine Kidd
Production Steven Pimlott
Composer Pyotr Il'yich Tchaikovsky
Designs Anthony McDonald


Conductor Jirí Belohlávek
Madame Larina Diana Montague
Tatyana Hibla Gerzmava
Olga Ekaterina Semenchuk
Filipievna Elizabeth Sikora
Lensky Piotr Beczala
Eugene Onegin Gerald Finley
Prince Gremin Hans-Peter König
Zaretsky Vuyani Mlinde
M. Triquet Robin Leggate



ロボットオネーギンアップ


恋に恋する田舎娘のタチアナが一目で「私がずっと夢に見ていた人は彼だわ!」と恋に落ちてしまう程のフェロモン男オネーギン。

プレミアのディミトリ・ホロストフスキーは美男子で立ってるだけで様になるルックスなのでぴったりだったけど、

今回のジェラルド・フィンリーのひっこんだ目は誠実そのもので、かっこは良いけど悪い男に散々ひどい目に合わされた女が「そうよね、男は見かけじゃなくて誠実さよね」と思って初めて魅力に気づいてもらえる類の風貌なので、オネーギンには無理があるわけです。


しかしオペラは観るものじゃなくて聴くものだから、そんなことはどうでもいいのよ、と言い訳する必要がないほど、フィンリーの歌唱は素晴らしかったんです

カナダ人の彼はよくロンドンには出てくれて、リサイタルにも行ったことあるし、「上手だけどちょっと聴き飽きたわ」と感じることもあるのだけれど、これまでROHでハイドンの哲学者のナントカ、利口な女狐、ドン・ジョバンニ、椿姫パパ、フィガロの結婚の伯爵、ペレアスとメリザンドのゴローで歌ったくれた中で、今回のオネーギンの彼が一番よかったとと思えるほどでした。


歌も芝居もいつも手堅いフィンリーには感心するのですが、今回は役柄のキャラに(ルックスだけではなく声も)合ってるとも思えないのに、うっとりと聞惚れてしまいました。実力あるバリトンです。オネーギンがオハコと言ってもホロがとうてい敵う相手ではないでしょう。 (ということで、容貌と雰囲気はホロストフスキーの勝ち、それ以外はフィンリーの圧勝)



おとめ座タチアナアップ


これはもう今回誰であっても、私の嫌いな先回の喉詰ソプラノのアマンダ・ルークロフトよりはましに決まっているので、余程ひどいソプラノでない限りルークロフトを負かすことは簡単なのですが、


でもこのヒブラ・ゲルズマーワって誰だろう? 聴いたことすらないロシア人だけど大丈夫かしら?


という心配は歌い始めてすぐに吹っ飛びました。張りがあって深くて艶もある素晴らしい声!それほど若くはないので、どこかで活躍していたのでしょうが、知らなくて惜しいことをしました。コベントガーデンには初登場なのですが、2006年に東京で 佐野成宏さんというテノールとヂュオ・リサイタルをやったようなので、日本では知られた歌手なのでしょうか?

その東京オペラシティのプログラムを見ると、愛の妙薬、椿姫、ルチアを歌ったそうで、いいなあ、私も聴きたかったです。タチアナは故国ロシアもので素晴らしいのは当然としても、アディーナもヴィオレッタもルチアも素晴らしいに決まってます。


ほんのちょっと太目だけど、容姿も美しい人です。タチアナがオネーギンに手紙を書く長い長いシーンを短く思わせてくれる程の力量は立派。

 
今回の大喝采をきっかけにして、これからはコベントガーデンを中心に歌って下さい!



ということで、主役の二人がこれ以上は望めないほど素晴らしかったので、予想外に満足なのですがニコニコ



問題は準主役のもうひとつのカップルでしたむっ





ペンギンレンスキー
ダウン


ヤキモチ焼きの若者でオルガ(タチアナの妹)の恋人。パーティでオネーギンがオルガといちゃついたので怒って決闘を申し込み、殺されてしまうアホ。


ピョートル・ベッツァーラは、素質はあるのに、リゴレットでもファウストでもぱっとせず、私のご贔屓グループにはお入り頂けないテノールです。声もルックスも悪くないのに、私にアピールする何かに欠けてる。まだ若いし、久し振りの彼は上手になっているかしらと楽しみだったけど、上達どころか、今までで一番悪い出来。

もうこいつは見捨てることにしました。


先回のロランド・ビリャゾンは、主役のホロストフスキーを食ってしまうほどの熱血ぶりで、その大熱演にはつい惹きこまれてしまったチャーミングで同情せざるを得ない素晴らしいレンスキーだったので、この勝負は圧倒的にビリャゾンの勝ち。



ねこへびオルガ
ダウン


先回の若いグルジア人Nino Surguladzeは容姿も歌も軽くて若々しくてクルクルとキュートだったけど、今回のEkaterina Semenchuckは雰囲気が重たくて、歌もゴツゴツ。


タチアナとオルガの容姿が似ていたのは、姉妹役だからちょうど良いかもしれないけど、性格が全くちがう二人なのにその違いがうまく出てなくて、似てることがマイナスになってしまったのも残念。歌唱力の差は歴然だったし。




プレミアで2度観たし、今回は1度だけ。

オネーギンとタチアナがすごく良かったのでもう一度いきたいところですが、仕事やらなにやらで忙しくて無理あせる



イースター休暇も寒波に襲われて終わっちゃったし、あー、やだやだ!


でも、明日は愛する丸ちゃんのカルメン一回目だよーん キスマーク


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