10月6日にEnglish National Opera(以下ENO)に行きました。

モーツァルトの魔笛、元はドイツ語だけど、なんでも英語にしちゃうENO。でもまあこれはちゃんとしたオペラじゃなくて喋るセリフもたくさんあるから、英語にしてもまあ我慢できるかなと。音楽は、モーツァルトだからもちろん抜群に美しくて有名なアリアも山盛り。かなり荒唐無稽なストーリーだけど、あまり深く考えないでコメディ仕立ての歌と芝居が楽しめる大衆向け作品。


だけど、そんなことは全然どうだっていいの。魔笛を聴きたくて行ったんじゃないんだから。余程苦痛になるようなひどいオペラでない限り行った理由はただ一つ、若いイギリス人テノールのToby Spence

彼の素直でピュアで甘い声が大~好き! 

何度も生で聴いたけど、声を聴いてるだけでうっとりよ。


でも、私の好きなテノールって皆なんで容姿端麗なんでしょうね~? ルックスの乏しい男性の多い業界なのに。


toby 2   toby 1 写真より実物の方が絶対ベターだからね!



彼だけが目的なので、当日の夜まで切符は買わなかったわ。直前に劇場に行って、「今夜はトビーはちゃんと出るわよね? 風邪なんかでキャンセルなんかしてないわよね?」と念を押してから、「じゃあ一枚頂戴。一番安いのでいいから」、と払った8ポンド

3階なのでちょっと遠いけど、仕方ない、ENOはROHとちがって安くて近い横の席がないの。でも双眼鏡を持ってるから大丈夫。


それで、今日のトビ-君は、期待以上に、すっごく可愛かった!! 

いつもは短い赤毛のトビー君、今日は金髪のまるでオスカル様のようなカールされた金髪で、衣装もベルばら風。クラシックな美男子じゃなくて、やんちゃ坊主のようなトビー君だけど、18世紀の若貴族衣装が意外にお似合いで、横顔のシルエットの美しいこと。喋る声も若々しくてチャーミング。


magic flute 魔法の笛を持った姿は理想的なタミーノ王子様


これだけでも来た甲斐があったのに、なんと上半身裸にまでなってくれたの。オイオイ(嬉し泣き)。何年か前にこの舞台みたことあるけど、そこまで覚えてなかったから嬉しい驚きだったわ。

若い男性のカラダってそれだけで充分美しいもの。でも若いっていっても経歴から判断すると30代半ば近いみたいだから、充分よろしいんではありますが、そろそろちょっとボディビルとかやったほうがいいかもしれない。ほっそりしてるのに脱ぐとびっくり筋肉マンのサイモン・キーンリーサイドに紹介してもらうといいね。


今までロイヤルオペラハウスに何度か出たときは脇役だったけど、ついにもうすぐロッシーニの「セヴィリアの理髪師」で堂々の主役をやるトビー君。よかったねえ(オイオイとまた涙)。ENOの花形テノールだって上等なステータスだけど、これはやっぱり大きなステップアップ(ちょっと前にこの役でNYメトに出てたような記憶もちょっとあるけど)で、国際的に芽を出すチャンスなんだから、上手くやるんだよ。2回応援に行くからね。


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というわけで、今日はオペラを観にいったわけではないので、あらすじとかの説明は省いていいかしら、と言いたいとこだけど、それじゃあナンだから、超簡単バージョンで一応ざっと説明すると、


架空の時代と場所で、他から来たタミーノ王子(勿論これがトビー君)が大蛇に襲われところを夜の女王の侍女に救われて、女王の娘パミーナ王女が悪い奴に誘拐されたから助け出してやってくれと頼まれると、肖像画の王女はカワイコちゃんだったので、張り切って鬼退治に出かけます。桃太郎はサルとかキジ(だったっけ?)連れていったけど、タミーノ王子のお供はバード・キャッチャーのパパゲーノ。魔法の笛を与えられて王女奪回を計るけど、誘拐犯人は悪人じゃなくて高徳の人物でしかも王女の父親だとわかる。悪いのは別れた妻(夜の女王)で、その影響から娘を守るために連れ去ったのだと。心髄したタミーノはそ仲間に入るために、様々な試練を乗り越えてパミーナ王女を結ばれてめでたし、めでたし。


夜の女王の有名な驚異的なコロラチューラや、道化役パパゲーノの楽しいアリアなど知ってるメロディがたくさん出てくる人気オペラです。


その日のパフォーマンスはみなそこそこの出来。パミーナ王女のジャニス・ワトソンは2、3年前にAプレヴィンの新作「欲望という名の電車」でRフレミングの妹役で素晴らしかったけど、声も姿もこのパミーナ王女には向かない。細い少女のような声でないと駄目だから。


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でも、喋るところは英語でいいから(英語の方がいい)、歌はやっぱりドイツ語でやって欲しいなあ。ENOは折角サイズも大き過ぎずインテリアも豪華な良い劇場なのに勿体無いこと。まあこのスタイルで定着したファンがいるんだろうからいいんでしょうが、最近経営がうまくいってないようだから、いっそ思い切って変えちゃえばいいではないのかなあ?そしたら私はしょっちゅう行く。


ついでに12月の切符も買った。ベンジャミン・ブリテンの「ビリー・バッド」。元々英語だから問題ないし、サイモン・キーンリーサイドと、バイロイトで活躍したジョン・トムリンソンの共演だから、これはずっと前から絶対見逃しすもんかと思ってたの。芝居上手のサイモンを至近距離で観たいので、運良く一枚あった最前列をゲット。 一番高い席で、なんと71ポンド。なんと、というのは私にしちゃあ大奮発ってことで、こんなに払うのは久し振りだわ。ROHならもっと安くて近い席があるのにね・・。

トビー君、10月23日にWigmore Hallでリサイタルやるようなので、日曜日だけど行こうかな。場所柄、ブラームスやマーラーの歌曲という渋さだけど、オックスフォード大学出のインテリだ、結構いけるかもしれない。個人的には華やかでわかり易いアリアを聴きたいけど、トビー君のまたちがった面を発見できるかも。問題は私の理解力だ。マーラー、ドイツ語・・。

リサイタルは先に切符を買っておいても大丈夫。本人がキャンセルしたら代役じゃなくてコンサート自体がキャンセルになるから。・・

それで何度失望したことか・・。歌手は生ものだから仕方ないけど。