7月1日(金)にロイヤルオペラハウス(以下OH)にヴェルディのオテロを観に行きました。


ストーリーはシェイクスピア作でご存知でしょうから省きます。

と言いたいところですが、忘れた方もいらっしゃると思うので、4行でまとめると・・・


美しいデスデモーナを妻に持つベネチア軍の指揮官オテロはムーア人。部下のイアーゴは、オテロが自分を差し置いてカッシオを昇格させたのを恨み、オテロの失脚を計る。イアーゴの策略でデスデモーナがカッシオと浮気していると信じ込んだオテロは怒ってデスデモーナを窒息死させて自害する。

ドミンゴとキリ・テ・カナワで映像にもなっているプロダクションで、セットも衣装も極めてオーソドックス。

3、4年前にホセ・クーラで観たこともあり、是非聴きたい歌手が出なければ行かないかもしれませんが、今回はオテロがベン・ヘップナー、デスデモーナがルネ・フレミングという豪華組み合わせなので、それはそれは楽しみにしてました。

rene & ben

ベン・ヘップナー    ルネ・フレミング



6月28日の初日にうちのオフィスのえらいさん方が招待でこれを観に行くというので、ルネ・フレミングは人気実力共にトップのソプラノで、ねっとりと甘い声が素敵だから乞うご期待、と言ったのに、翌日どうでしたと聞いたら皆さんあんまりお褒めにならないので、調子が悪かったのかしらと思ったら、実は新聞で見たら彼女は出なかったんです。チャールズ皇太子ご夫妻(ちょっと前までは「チャールズとカミラ」だったのに、ついにご夫妻になりましたか・・・いやはや・・)もいらしていたというのにドタキャンしたんですね。私は彼らが何度もお忍びで一緒に来ているのを目撃しているし、おそらく歌手についてもそこそこ知識をお持ちでしょうから、きっと失望なさったにちがいありません。ルネ・フレミングも無念だったでしょうが。

私が行くのは2回目だったのですが、最初の2回キャンセルしたそうなので、なーんだ私が行く日にも出ないんじゃんと知った途端に楽しみがぐんと減りましたが、友人と一緒に行くことになっていたので切符を他の人に譲るわけにもいかないし、せめてベン・ヘップナーは出てよね~と祈りながら出かけました。

がっかりした理由は代役がアマンダ・ルークロフトだったからです。イギリス人の彼女は可憐な容姿でデスデモーナにはぴったりですが、高音になると喉が締まってしまって声が出ないというソプラノとしては致命的な欠点を持っていることは何度も聴いて知っていたので期待はできませんでした。

結果は予測通りで、高音部分になると私までつい自分の喉をつい押さえてしまうほど、彼女の声は上に伸びなくて聴いているほうに欲求不満が溜まること。あ~あ、今頃ルネ・フレミングの甘く美しい声にうっとりしているはずだったのに残念無念。で、こういうこともあろうかと、予備にもう一枚買ってあったので、そのときは出てくれますようにと祈りながら・・・。

3回目の7月4日は歌ってくれたそうなので、それなら7日も大丈夫だろうとまた期待が高まったのでしたが、もちろんその日は大騒ぎになってキャンセルになってしまいました。

まあ私はルネ・フレミングは何度も生で聴いたことがあるので、いいんですけどね~。


それに、カナダ人の巨漢テノール、ベン・ヘップナーのオテロは、高音が気持ちよくスコーンと抜けて素晴らしく、トップの実力をみせてくれたので、わざわざ見に行った価値はあったとは思います。

切符代は11ポンドぽっちなので、こういうとき怒りもそれに応じてスケールダウンするような気もします。ルネ・フレミングが出るからこそ175ポンド払った人もいるでしょうから、そういう人は気の毒です。まあほとんどはお金持ちでしょうから私が同情することはないんでしょうが。