第42回「貧乏音大生の記録…先輩よ永遠なれ編」 | 打楽器奏者・嶋崎雄斗のプレイヤー日記~折れない心と折れていくスティック~

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貧乏音大生シリーズ過去の記事はこちら
第24回「貧乏音大生の記録…家探し編」
第28回「貧乏音大生の記憶…新生活編」

シリーズ3回目。

月4万円で生活をするという条件のもと実家を離れ、ついに武蔵野音大の近くに家賃2万3千円のおんぼろアパート(4畳半・風呂無し・トイレと玄関共同!)で生活を始めた嶋崎容疑者(19歳、男)。貧乏生活の予算計画もしっかり(?)と立てたところで、ようやく夢の音楽大学・キャンパスライフがスタート!!











小さい頃からマリンバのレッスンには通っていたが、中学、高校とテニス部でラケットを振り回していた俺にとって、吹奏楽部のように「楽器がいっぱいある」「音楽好きが集まる」「圧倒的に女性が多いw」という環境、つまり音楽大学での環境に慣れるまでには結構な時間がかかった。



音楽大学ではどこの教室にもピアノが設置してあり、地下の練習室には所狭しとマリンバやドラムやティンパニなどの大型楽器がひしめき合い、廊下を歩いているだけで四方八方から音楽が聞こえる。

音楽大学では誰と会っても最近の練習の状況や聞きに行ったコンサートの話で持ち切りとなり、同じ楽器同士ならば楽譜を読み始めた曲の詳細やレッスンで先生に言われた事などを相談し合う。

音楽大学では右を見ても左を見ても女性ばかりである。

これは困った。

「俺はウィンブルドンの話やダブルスの戦略について語り合いたいんだよぅ!!」そんな叫びも虚しく過ぎていく(そりゃそうだ)。





そして、それら以上に衝撃的な事実に直面した。良く言われる事でもあるが、「音大生には、金持ちが多い」という事である(もちろん例外もあるが)。






音大生は、ランチ1000円も当たり前。俺の3日分の食費(第28回「貧乏音大生の記憶…新生活編」参照)をランチで消費って!!

音大生は、家賃が10万以上する防音・防犯つきの綺麗なアパートに住んでいる。俺の4カ月分の家賃!!

音大生は、楽器のためなら湯水のようにお金を使う。当時俺は自分のスネアすら持っていなかった…_| ̄|○






先輩(当時4年生の女性)に「うち風呂ないんすよ~」と正直に話すと

「えぇぇ!!きたな!!ふざけんなマジ触るな…(´Д` )」

と本気で怒られる始末(さすがにちょっと凹んだw)。






が、そんな貧乏事情を恥ずかしがらずに打ち明けられたおかげか、特に当時の男性の先輩方には笑い話の種にしていただけると同時に、随分と可愛がっていただいたものだ。

俺が入ったヴィルトゥオーソ学科というところは「1~2年生のうちは同級生と別のキャンパス」という特殊な環境もあり、いつも練習室でお会いする先輩方が優しくしてくれたのは非常に心強いものがあった。

「毎日ってわけにはいかないけど、うちの風呂入りに来ていいぞ」

「ちょっと飯食ってくけど、お金いらないからお前もいく?」

などなど…お世話になった先輩方がいなければ、本気で病気くらいはなっていたかもしれない。(この場をお借りして、先輩の皆様!本当にありがとうございました!!)

余談になるが、今の自分が後輩に仕事を渡せるようになろうと躍起になっているのは、「先輩たちにお世話になった」という記憶が強いからに他ならない。先輩は偉大なり。





それはさておき、そんな諸先輩方のおかげで極貧ながらも普通に生活を続ける事ができた。

おんぼろアパートは家というよりは寝るだけのスペース。貧乏生活のおかげで、練習や体力作り以外にする事はない。

朝7:30には練習室へ行き、授業を受け、ご飯を食べに帰る事はあるが基本的に学校が閉まる9:00頃になってようやく帰る生活がしばらく続いたのであった。




つづく。