第9回「これであなたも音楽家!」 | 打楽器奏者・嶋崎雄斗のプレイヤー日記~折れない心と折れていくスティック~

打楽器奏者・嶋崎雄斗のプレイヤー日記~折れない心と折れていくスティック~

打楽器の豆知識から日々の音楽ネタまで、大好評連載中。

公式ホームページ
→ 嶋崎雄斗 official web site

音楽には専門用語や略語がたくさん存在する。そもそも音楽に限らずとも、「仲間うちだけで笑える用語」や「その会社内でしか通じない言葉」など、ある一部のコミュニティに関係している人間だけに通じる言葉というものはたくさんあるのだろう。

例えば芸能界(広い意味で。音楽業界も含む)では朝でも夜でも「おはようございます」。これはなぜなら、この関係者には深夜に仕事をしている人(テレビやラジオの収録、音楽のレコーディング、バーやホテルでの演奏などなど)もかなり多いため「今深夜24時だけどこの人はさっき起きたばかりかもしれない」という配慮から使われ続けているものと言われている。(元々は伝統芸能で使われていた)

そんな業界用語に関する問題です。



問)下記の文に含まれている音楽関係の用語に()で説明書きを入れ、一般の人が解読できる文に直しなさい。


①音大生の日常会話

「今日のオケスタ、チャイゴでさ~。副ピの後すぐでマッピ忘れちゃって、試しにトラのボーンの人の借りてみたらベーもまともに出なかったわw」



②音大生の日常会話その2

「うわ!残りデー千円でヘッド買えるかなぁ。アゴゴはいいんだけどサッシンとマレスタはやっぱ高かったわ…」



③ジャズアンサンブルでの話し合い

「テーマの最後ブレイクして、ペットソロの後4バースね。スタ本にはマイナーしか書いてないけど勝手に7度とか足しちゃうわ~」



④指揮者による指示

「そこはもっと、ドーン!!ですぐにガッ!!そしたらサラサラサラサラ…ラララ~♪だろ!!はい、ではもう一度」





以上4問。

皆さんわかりましたか!?

では回答をどうぞ!





①「今日のオケスタ(オーケストラスタディの略。曲を聞いたり楽譜を読んだりCDに合わせて演奏したりする授業)、チャイゴ(チャイコフスキー作曲、交響曲第5番の略)でさ~。副ピ(副科ピアノの略。ピアノ専攻以外の人はほぼ必ず履修する)の後すぐでマッピ(マウスピースの略)忘れちゃって、試しにトラ(エキストラの略。正メンバーではなく助っ人として参加している人の事)のボーン(トロンボーンの略)の人の借りてみたらベー(シのフラットの意、ドイツ語。メンバー全員で音を合わせる際の基準となる)もまともに出なかったわw」


コメント:どうやらこの人は金管のようですね。トロンボーンのマウスピースを借りてみたけど音がちゃんと出ないという事は、ユーフォニウムではありませんね。チューバか何かでしょうか?




②「うわ!残りデー千円(2千円の意。デーとはドイツ語でレの音の事だが、音名で数字を表す事がある)でヘッド(太鼓の皮)買えるかなぁ。アゴゴ(アゴゴベル。サンバでよく使われる、2つの金属柱を叩いてリズムを出す楽器)はいいんだけどサッシン(サスペンドシンバルの略。ドラムセットなどに使われるあのシンバルである)とマレスタ(マレットスタンドの略。バチを置くための台)はやっぱ高かったわ…」


コメント:今度は確実に打楽器の人ですね。買っている商品から、おそらくアンサンブルが好きなのでしょう。ヘッドは2千円もあれば十分良いものが買えますよ。




③「テーマ(Jポップなどで言うところの1コーラス)の最後ブレイク(全員が音を止め何も無い空白を作る事)して、ペットソロ(トランペットソロの略)の後4バース(4小節ごとにソロの人が変わっていく進行方法)ね。スタ本(スタンダード本の略。有名な曲がたくさん入っている曲集の事)にはマイナー(短調。暗い和音)しか書いてないけど勝手に7度(和音の基準となる音から数えて7番目にある音。例えばドから始まる和音ならシ)とか足しちゃうわ~」


コメント:ジャズらしく、自分たちで曲をどうするか相談している微笑ましい図です。ピアノか、トランペット以外の旋律楽器の人のセリフのようです。レッツセッション!



④「そこはもっと、ドーン!!(ドーン!!って感じ)ですぐにガッ!!(ガッ!!って感じ)そしたらサラサラサラサラ(サラサラサラサラ…って感じ)…ラララ~♪(美声)だろ!!はい、ではもう一度(もう疲れたよママン…)」


コメント:自分の理想とする表現をどう伝えるか?がポイントとなる指揮。こうやってほしい!という情熱が非常に伝わってきますね。時には理論的に説明されるよりわかりやすい事も。






本日の授業はここまで。皆さんお疲れ様でした!



あ~、今日もたくさん練習したなぁ!

じゃ、授業も終わった事ですし飲みにでも行きますか(^ ^)(音楽家はかなりの割合で酒好きが多いの意)