綺麗な華ほど…… 10 | ぺんぎんの戯言ブログ

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スキビファンが今まで読専だった駄文を書いてみました。

出版社、原作者、関係者には関係ない趣味の二次駄文です。
二次が嫌いな方や、悪戯、嫌がらせ等はご勘弁下さいませ。

因みに、基本的に尚ちゃんが好きではないので、尚好きな方は申し訳ありません。

相変わらず天然キョコさんは……

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今日はスタジオで校舎のセットを使いながら撮影をするため、TBMに来ていた。

「おはようございます!」
「おはよう、京子さんは今日も元気だね」
「ありがとうございます」

何となく『京子』と呼ばれるのがくすぐったい。
自分の名前はコウキで京子を演じてるみたいな感じかな……

「もぉーっ! アンタ、何ぼーっとしてんのよ」
「あ、モー……琴南さん、おはよう」

モー子さんは私にあだ名で呼ばれるの嫌がるから、今までそんな事、考えて見たことなかった。
私もいつかモー子さんにあだ名で呼んで欲しいな……

そんな事を考えているうちに監督が入ってきて撮影準備が始まった。

アクションが多用されるこのドラマの撮影には、殺陣の振り付けと指導係がいたが、その人がびっくりするほど私の身体さばきはよかったらしい。

なんと言っても毎朝、放課後もずっとアクション含めた演技漬けの生活に、友達もできてワイワイ遊べて。
私の中では間違いなく最高に楽しい生活がおくれている。

やっぱりうにゃらかな事は他の人に任せて、残りの生活を楽しまなきゃ勿体ないからねっ!

しかし今日の撮影では、私はバリバリに緊張していた。
初めて廊下で相手を投げ飛ばさなければならない。今までの様にモー子さんを守りながら往なすだけではすまない相手が襲って来た設定なのに……

「こら~、そんなへっぴり腰でどうするんだっ!」
「すみません、もう一度お願いしますっ!」

道場や教室の床はそれなりの対策がされているが、いざとなると大柄な男性を投げる前に躊躇してしまい、監督のダメ息が聞こえた。余計に力が入ってしまい、リテイクを5回繰り返した所でとうとう

「ちょっと休憩。京子ちょっと来い」

呼び出しを食らってしまった。

「今までの殺陣はよかったが、やはり実戦は無理か?」
「いえっ、そんな事は……」
「でも君の動きは明らかに躊躇が見える。広瀬はプロのスタントだ。その手のプロ相手に躊躇するのは、相手を信じてないと言う事じゃないか?」

監督に言われて気付いた。
確かに自分の投げ方もあるけれど、190cmの大柄な敦賀さんを投げてしまった時は何の躊躇もなかった。身のこなしを信じていたから……?

でも今、こうして何度もリテイクしてしまうのは、相手の力を過小評価してるのかも知れない。
凄く失礼だ、私っ!

「すみません、もう一度お願いしますっ! でもその前に広瀬さんとお話させて頂いていいですか?」
「お、顔色戻って来たな。とっとと行ってこい。戻り次第再開だ!」

ペコんっと監督にお辞儀をして殺陣の相手役の広瀬さんの所へ行った。

「すみません、広瀬さん。何度もリテイクを繰り返してしまって申し訳ありません」
「いや、俺の体格だと投げるの大変だろうけど、俺もこれで食ってるから遠慮せずにやって」
「ありがとうございます! 是非遠慮せずにいかせて頂きます!」

その再開後の撮影では一発OKが出た。
頭の中に思い描いたのは……あの時に投げてしまった敦賀さんの事だった。

*****

自分のリテイクのせいとは言え、次の雑誌のインタビューにはギリギリ時間ピッタリに着いたものの、かなり走った為、すぐにはインタビューが始められないと言う失態をしてしまった。

ドラマの話を無難に答えて切り抜けたが、ミスの重なった一日に一人凹みながら事務所に報告を兼ねて行った。

椹さんが来客中と言う事でラブミー部で一人で待っていると、携帯が鳴り出した。

誰だろう……

発信元を見て慌てて電話に出た。

『もしもし、コウキ?』
「ナオキ、どうしたの?」
『ん~、何となく電話したくなってしちゃった。迷惑だった?』
「ううん、なんか凄く嬉しいよ」

今日一日の色々落ち込んでいた気持ちが明るく色づいていく。

『ね~、コウキも一日位バイト休んで遊ぼうよ。高校生最後の夏休み、大好きなコウキと遊びたいよっ!』
「ナオキ……えへへ、私もナオキの事、大好きだよ。お休み貰えそうな日があったら連絡するね」

そう……通学中は撮影で抜ける時間を纏めて貰えたので、あまりこういう事がなかったが、夏休みに入り本格的に撮影が始まってからは、撮影と稽古の時間を『バイトがあるから』とみんなに言っていたのだ。

少し暗い過去が掠めるけれど、本当に大好きと言ってくれる友達に嘘をつかなければいけないのは苦しい。でも本当の事を言えない以上、この『バイト』は崩せない事なのだから。

『うん、わかった。じゃあ連絡待ってるね。おやすみ、コウキ! 愛してるよっ!』
「おやすみ、ナオキ。私も……大好きだよ」
『ええ~~、愛してるはないの~~?』
「わかった、あいっ……愛してるからっ、お、おやすみっ!」
『うん、おやすみぃ~~』

友達との間でも『愛してる』って言葉って破壊力抜群だわっ?!
この言葉をドラマとは言え、照れもせず言える敦賀さんって、本当に日本男児なのかしら……?

んっ?! お、怨キョが踊り狂ってる……
しかもなんか寒気がする様な……

次の瞬間響いたノック音は、地獄の門を叩く音に聞こえてしまった。
なぜ……なんでそんなに怒ってるんですかぁ……敦賀さん……

***** つづく

すみません、なかなか亀な進みで申し訳ありません(;つД`)

昼間に集中力を搾り取られる毎日。
この一週間で終わるはずっ!
……先週もそう言った様な……