綺麗な華ほど…… 9 | ぺんぎんの戯言ブログ

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スキビファンが今まで読専だった駄文を書いてみました。

出版社、原作者、関係者には関係ない趣味の二次駄文です。
二次が嫌いな方や、悪戯、嫌がらせ等はご勘弁下さいませ。

因みに、基本的に尚ちゃんが好きではないので、尚好きな方は申し訳ありません。

さて久し振り蓮さんの登場。

∽∽∽∽∽∽∽

「蓮、おはよう」
「社さん、おはようございます」

いつもと同じ事務所での朝の風景。
無理にでも朝を食べさせようとカフェで打ち合わせをしていた。

一週間程前にどうした事か、自ら朝ごはんを食べながら打ち合わせをしようと言われた日は、びっくりして鞄を落としてしまった。
後々問い詰めて見たところ、何らかの事情でキョーコちゃんに会えたらしい。細かい事は頑固に口を閉ざしていたが……

本当にお前って分かりやすい奴だったんだな~~
しかし、そんな日もこの一週間でもとに戻りかけていた。
このまま禁断症状が進めば、また強引に会いに行きかねない。

そんな俺が痛む胃を抑えて俯いている目線の先に、高いヒールが止まった。まさかキョーコちゃん?!

しかし顔をあげてみれば、にこやかに微笑む琴南さんがいた。
綺麗な姿勢でお辞儀をする様はキョーコちゃんを彷彿とさせる。

「おはようございます、敦賀さん、社さん」
「おはよう、琴南さん。今日は事務所に用事なの? キョーコちゃんは元気?」
「おはよう、琴南さん。撮影は順調?」

にっこりと彼女は笑うと静かに答えてくれた。

「お二人共よほどキョーコの事が気になるんですね。キョーコは元気で撮影も順調に始まりました。ご心配ありがとうございます。……とすみません、携帯に出てもいいですか?」

唐突に鳴り出した携帯にこれまた笑みを深くして出る姿が可愛らしい。さては彼氏でも出来たかな?

「おはよう、コウキ。うん、今事務所にいる所。……これから行くから……また後でね。え? 先輩? うん、会えたよ?」

ちらりと蓮を見る目がなんだろう、今までと違うような……
でも琴南さんの彼氏、よっぽどじゃないと彼女の飾りになってしまいそうだ。

「え……やだ、待ち受けにしてるの? 恥ずかしい……」

うわぁ、ほんのり紅くなって色っぽいよ! それ事務所以外でしたらまずいよ?

「わかった、また後でね……すみません、先輩の前で失礼しました」
「いや構わないけど、あまり外では彼氏と電話しない方がいいかも知れないよ?」
「なぜ……ですか?」
「好き好きオーラが駄々漏れだよ? なぁ、蓮」
「そうだね……特に現場とかは色々書かれがちだから気を付けた方がいいかもね」

パパっと紅くなる顔が可愛い。

「でもそんな顔にさせる彼氏と会って見たいなぁ、な、蓮?」
「いや……俺は……」
「まあ、敦賀さんはあの子の事で頭いっぱいでしょうから、私の共演現場の方が気掛かりなのもわかりますけどね!」

蓮っ、お前ってそこまで心狭いの?

「それに彼氏に対して俺を引き合いに出すのはどうなのかな?」
「確かに敦賀さんの話はしましたけど、一笑されて終わりでしたから」

すごいっ、抱かれたい男No.1を前に一蹴する琴南さんと一笑する彼氏。まあ、蓮のヘタレた実態を知っていれば……

「それじゃあ、私は仕事に行きますので、失礼させて頂きます」
「キョーコちゃんと二人で頑張っておいでね」
「ありがとうございます、社さん」

再び綺麗なお辞儀をして去っていく琴南さんを見ながら二人して同じ事を考えていた。

「そうなるとキョーコちゃんだけがラブミー部に残っちゃうな……」
「そうですね……」

何も知らないのは俺達だけとは、思いもしなかった……

*****

撮影現場に辿り着いた私は共演者やスタッフへの挨拶をしながらキョーコの楽屋へ直行した。

「ちょっとキョーコ! どうなってるのよ、あれはっ……!」
「敦賀さんにはあまり話してないから……だけど、だってぇっ!」
「こらっ、最上っ!」

ピシッと役が戻るキョーコ。私は別の人に自分の成果を確認した。

「じゃあ昨日の『彼を思ってはにかむ』の宿題はOKなんですかっ?」
「微妙な所だな。まあ、あの表情の出来は中々だった」
「ありがとうございます……じゃなくてっ!」

何故か狭い楽屋の中には、派手な格好をした社長と、世界的に超有名な演出家の伊奈庭さんが、キョーコ……いやコウキと話をして、また男役に戻った。

「奏江、おかえり」
「た、ただいま……っていうか、そのヘタレ俳優を真似た様な色気駄々漏れはやめてよっ!」
「いや、これは素晴らしい才能だぞ。楽しみでたまらんなぁ」
「こらこら伊奈庭。最上君で遊ぶのは止めてくれるか? うちの看板が倒れんからな」

さっきの電話もドキドキだったんだから。

「いきなりもう二度と敦賀さんに会いたくないだのっ、びっくりして誤魔化すの大変だったじゃないのっ!」
「でも……待ち受けにしてくれてるって本当?!」
「そうだけど、それはドキバクする心臓を見破られない為よっ!」

最近、キョーコはコウキと愛称で呼ばれてるらしい……けど凄くわかる。一緒に歩いてれば恋人に間違えられるし、あまりの男らしさに監督も嬉しすぎて設定を恋人に変えようとか言う始末。

ま、確かに初めてできた親友だし、腰を抱えて歩かれても別に私はいいんだけどね。
学校に迎えに行くと学生達に睨まれるのよっ! みんな女なのにっ!

「あんた敦賀さんに会いたくないって……一体どうしたのよ?」
「今はちょっと……」
「女だらけの中から改めて見ると、男が際立って腰が引けたんだろう。男役はバッチリやれてんのにな」
「師匠っ!」

真っ赤になって素に戻ったキョーコが反論するも、あっさり返されてる。凄いわ、この人。

「けけっ、図星か。まだヒヨッコだな。1ヶ月で女子校の水に染まったか」
「染まるってどういう事ですか?」
「外の男が特別に見えちまうんだよな! だから惚れやすくなっちまう。ま、お前の場合は後一歩だったんだろう」
「伊奈庭、お前に預けた甲斐があったぞ。これで二人揃って卒業できるな」

社長は勝手に盛り上がっているが、当事者の私達二人は喜ぶ様な感じではなく……
私の楽屋に移って今日の撮影の支度を始めたのだった。

***** つづく

これはあくまでフィクションであり、私の妄想世界ですっ!
もしかしたら『ごきげんよう』な学生生活もあるかも……

ほほっ、ここまで来たら遅いって?