桃太郎ごっこはとても危険な遊びだ。

PTAにばれたら、強大な圧力で中止させられることになるであろうと思われるその危険な遊びを考えだしたのは、ボクの友だち。

何をしてもあやしいKクンだった。


若林で見た空


それではその全貌を今、明らかにしよう。

桃太郎ごっこ、別名「どんぶらこ」は。

夏のプールで行われた。

対象は小学生男子中低学年のみ。

プールの中で海水パンツを脱ぎ。

逆さになってお尻だけを水から受けるのだ。まさに「どんぶらこ」。

それを、クラスの男子全員で一気に行ったときの景観はまさに壮大だった。

どんぶらこは、安土桃山文化を思わせた。

狩野永徳、狩野山楽が描いた、お城に飾る屏風絵の如きその景色は美しく、一瞬で周囲の空気を清清しいものへと変化させた。

それなのに、どんぶらこ。

この遊びは、やがて担任の先生にばれて、即刻中止の宣旨が発せられる。

せっかくKクンがクリエイティブに製作し、我が仲間たちがフレンドリーに実現したどんぶらこなのに。

中止の宣旨とともに、この世界から消えていった。

悲しい運命を辿るどんぶらこ。

それはいつの日か。

布施明の「愛は不死鳥」のように、蘇ってくれるのだろうか・・・。