子どもの頃。

台風が好きだった。

台風が来ると、いろんなグッズが準備できるから。

それだけで、ワクワクした。

懐中電灯や。

ろうろく。非常食。停電になってもこれで大丈夫。


若林で見た空


そして、雨戸をガラガラ閉めた。

よく、サザエさんなんかを見ると、台風が来ると、雨戸の上に木の板でバッテンを打ちつけてた。

ボクとしては、我が家もそこまでやって欲しかった。

けど、さすがにそこまでは両親もやってくれなかった。

あれは今思うと、漫画だけのお話だったのか。それとも、現実に日本人は台風のたびにバッテンを作っていたのか。ナゾだ。

雨がポツポツと降り出す。

う~む、来たな・・・。

そのうち、風がヒューヒューと鳴り出す。

でも雨戸閉めてるから大丈夫だもんね。

なんて思いながら、台風の日を過ごした。

子どもだったから。台風の本当の怖さを知らなかった。

まだまだ全てを親に守られている時だったから、そんな風に感じられたのだと思う。

ちっちゃい頃って、やっぱり。幸せだね。


そうして。停電になろうものなら。

「ボクがつける。ボクがつける。」

と大騒ぎをして、家の中で懐中電灯とろうそくをつけた。

心はもう、川口浩探検隊長だった。