子どもの頃。

けんかをすると必ず出てきたフレーズが。

「お前のかあちゃん、でべそ。」だった。

「おのれ。拙者のことを罵倒するならまだしも、母上の儀、愚弄するとは容赦ならん。」

と、その時点で怒り度数の針はグンと跳ね上がった。怒髪は天をつき、おへそでお湯がわき、はらわたが煮っ転がしになった。

将を射んと欲すればまずは馬を射よ。子ども同士のけんかの文脈は、相手を嫌な気持ちにさせるという意味で、かなり的確であった。


若林で見た空


ただし・・・。

この手法、大人になってからはなかなかやらない。

いいオヤジが喧嘩の最中、「お前の母ちゃんデベソじゃねぇか。」なんて言い出したら、「我が母のデベソの儀、なぜお前が知っておる」などと、話の行方は別方向に発展してしまう。それは大人としてかなりマズイ。

いろいろな意味から、「お前のかあちゃんデベソ」攻撃は子どもの喧嘩にのみ通用する必殺技とボクは見る。

ところで子どもだけが有する必殺技としてもう一つ長きにわたり、君臨しているものがある。それが、「あ~ららこらら」だ。

「あ~ららこらら、い~けないだいけないだ。あ~ららこららら、お母さんに言ってやろう。先生に言ってやろう。」

いわば、言いつけ口攻撃である。

これが意外とボディブローのようにきいた。

言いつけ口されるかもしれないというプレッシャーは、頭から離れず、ついつい仕方なく自分からしてしまったことを親に話すことになる。

「あ~ららこららら。」恐るべき、攻撃方法だったが、これもまた大人になってからはあまり用いない。

例えば、会社で同僚が何か失敗をした時、「あ~ららこらら、いけないだいけないだ。社長に言ってやろう。」と言う人はいない。基本、大人は言いつけ口をしないものなのだ。

子どもの頃の決まり文句。

今思うと。

楽しいね。


*キンコンカンコンについて。

たくさんお話をいただき、本当にありがとうございました。たくさんたくさん納得させられました。

丸投げを拾ってくださり、本当に感謝いたします。