ボクの高校にある漫画研究同好会。
同期の会員は3人いた。
一人はカッパに似たGIN。一人はサルに似たNか村クン。もう一人は不思議少女K島さんだった。
ボクら3人は、毎年文化祭で販売するための本を書いていた。
本の名前は「ひま」。
頑張って頑張ってボクらは暇つぶしをしています。そういう意味で名づけられた同人誌だった。
漫画研究同好会の顧問は、Y村先生。
飄々としていた。わけのわからない3人組をしっかりまとめ、毎年ちゃんと「ひま」が出版されるのを見届ける。それが彼の主たる仕事だった。
ある日。Y村先生は、紙袋をボクらのところに持ってきた。
中にキャンディーが入ってるから取れと言う。
「いただきます。」
ボクらはそれを一つずつ取った。すると、ボクのキャンディーだけイチゴ味だった。あとの二人は、ミルク味。
それを見たY村先生はこう言った。
「イチゴ味が部長だからな。」
こうして名誉ある我が高校漫画研究同好会の部長はボクがつとめることとなった。
今思うとその決め方に、「それって、どうよ?」と意義を差し挟む余地は満載だった。
不思議少女K島さんは、圧倒的に絵がうまかったし。
漫画を読ませたら、誰よりもたくさん読んでいるのがサルに似たNか村クンだったから。
もはや、絵が下手であるということのみが特徴のボクが部長を務めるというのは、「?」な決断だと思われた。
どうしてカッパでもいいのか。
Y村先生はきっとこう思っていたのだろう。
「誰がやっても同じだよ。お前ら仲いいんだから・・・。」
その通りだった。仲の良い3人組。いつも部室にこもって絵を描き続ける3人組に、リーダーもフォロァーも関係ない。とりあえず形式な部長だけ決めて、文化祭の事務処理をやらせればいい。もっともな考え方だった。
というわけで、ボクらは漫画を描き続けた。
クロマニョン人が描いたラスコーの壁画に遠く及ばないボクの画力でも、ポスターを書くと文化祭でそれが不思議と売れた。
そんなかわいらしい時代だった。今はどう?
近況を申し上げると漫画研究同好会は部活動へと昇格し、アニメを作っているという。
うらやましい限りである。アニメ。
ボクも、書いてみたかった・・・・・。