行商人。
いなくなりました。
「たけや~さおだけ」
「わらび~もち。おいしいよ」
ボクの記憶では、夏に多い行商人。
独特の節で、売り物を連呼する商法は、いわば夏の風物詩だった。
コンビニやスーパーでお買い物が多くなった今こそ、こうした粋でイナセな商売がむしろ懐かしい。
子どもの頃、近くの公園に行くと、オジサンたちがいろいろなものを売っていた。
上手にハサミでカットして、動物やら花などを作ってくれる飴屋さん。
美しい音色とともに現れて、冷涼な風を売ってくれる風鈴屋さん。
なかには、紙芝居屋さんもいた。
ホイッスルをピーッと吹いて。ホンダカブに乗ってやってくるそのおじさんは、ソースせんべいや切り抜くお菓子を売りながら、紙芝居を見せてくれた。
みんないなくなってしまった・・・。
ボクらが子どもの頃が、それら行商の最終期だったのかもしれない。
これもまた。サミシイ話である。