昔昔。
焼きうどんという食べ物があった。
それは、喫茶店メニューとしてもかなり有名で、人々はそれを好んでよく食べた。
うどんをソースで焼いて、キャベツやお肉をトッピングして。
焼き終わったらうどんたちの上に、鰹節をパラパラかける。
そのコラボが絶妙だった。
おいしかった。服にソースが飛び散るリスクはあったけど、それでもボクらは焼きうどんをよく注文した。
でもその焼きうどん。最近、喫茶店で見かけなくなった。スパゲティぺペロンチーニや、カルボナーラなんて洒落たメニューが時代を凌駕し、焼きうどんは窓際に追いやられてしまったのだ。
それもそうだ。
彼女とデートして、ホワイトソースのスパゲティを食べるなんてことはあっても、いきなり「おやじ、焼きうどん持ってきてくれ!!」とは若い彼氏も言いづらくなったのだろう。実に、残念な世の中だけど、若いもんの気持ちもわからないではない。
ただ・・・。
ただである。
今後のことを考えた時。
お好み焼きやもんじゃ焼きには、ぜひがんばり続けていただきたいと願う。
もしもあなたたちまでもがいなくなったら、おじさん。
食べるものがなくなってしまう。
だってそうでしょ。
仕事帰りのおじさんたちが、ペペロンチーニやパエリアを食べながら、ワインをひっかけて帰っていく。
そんな風景を思い浮かべてみて欲しい。
あなたはきっと、薄気味悪いと思うはずだ。