「町のどこかに さみしがり屋が一人

今にも泣きそうに ギターを弾いている」

という歌が、昔あった。

その人は、真夜中にギターを弾いていた。

真夜中のギター。正直、周囲は迷惑だ。うるさくて眠れない。

泣きたいのは、弾いてる方でなく、聞いてる方だ。

ただし・・・、そんな内容の歌詞でなかったことは、確かである・・・。


若林で見た空


ところでボクも学生時代。下宿でよくギターを弾いた。しかも、真夜中に。

友だちと酒を飲んでは、ギターを弾いて歌を歌う。

今思うと、ずいぶん迷惑な学生だった。周囲の安眠をジャマするジャカジャカ音は、不定期的に友だちが下宿を訪れるたびに始まった。

ボクは歌謡曲やフォークソングを多く歌ったけど、中に一人、クリームを歌いたいというわがままな友だちがいた。

顔がキツネに似ていた、Y川クンだ。

Y川クンは、ボクら動物バンドのボーカル。

ボーカルは、ボクら下々の動物よりも、随分声がでかい。

張りがあって、でかい声は、真夜中に於いては迷惑千万。しかも歌うはクリーム。

近所の人々は、いかに切なかったことか、察しがつく。

歌い続けて数時間。やがて、窓から明るい光が差し込んでくる。

その頃になると、クリームキツネY川クンも、ボクら下々の動物も、睡魔に襲われる。

そして、朝になるとすっかり寝てしまう。当然学校は自主休講。

振り返ってみると、なんて自由な毎日だったことか。

学生時代の時の過ごし方は、社会人の生活とはおおよそ乖離していた。

そして。

クリームは、今聴いても、心にしみる。

エリック・クラプトンさん。あなたはやっぱり天才だ。