小学生の頃。
この曲をよく聴いた。
日本人全員、老いも若きもこの歌が好きだった。
上を向いて歩こうの、アンサーソングのような歌詞だった。
「一日一歩 三日で三歩 三歩進んで二歩下がる」
う~む。前向きなのか、後退思考なのか。
ちょっとわかりずらい面もあるけど、「人生はワンツーパンチ」なのだから、やっぱりこれは、前向きソングなのだ。
汗かきべそかき歩こうよ。
いいね。当時の日本人はみんなこうだった。
失敗をおそれず、いろいろなことに立ち向かった。
ボクは、子供だった。
ベーゴマをまわして、ラムネを飲んで、ソーダガムを噛んでいた。
夏休みの暑い一日は、プールで泳ぎ、真っ黒になった。
夕立雲が出てくると、あわてて服に着替え、近所のお菓子屋さんでカキ氷を食べた後、走って家に帰った。
家に着くと、母親が汗だくになった服をすぐに取り替えてくれた。
粉石けんのにおいがした、柔らかい夏服。
ボクら子供も、それを着て、毎日一歩、前に向かって歩き続けた。