いちご白書という映画は、高校生の頃、夜の映画劇場(静岡にはそういう番組があったのだ)で見た。

ストーリーは、はっきりと覚えていない。

体育館で、ギブ ピース ア チャンスと叫びながら、床を叩くシーンは印象的だったけど、それ以外が詳しく思い出せない・・・。

それよりなにより、ボクの心に残るのは、バンバンの「いちご白書をもう一度」だ。



若林で見た空


いつか君と行った 映画がまた来る

授業を抜け出して 二人で出かけた

悲しい場面では 涙ぐんでた

素直な横顔が 今も恋しい


大学時代、ボクも自主的自発的に授業を休講にして、映画をよく見に行った。

渋谷の映画館で、たくさんたくさん映画を観た。

ただ、「いちご白書をもう一度」と異なる点もあった。

それは、ボクはいつも一人で映画を観たという点だ。

これについて、たいした差異ではないと思う人もいれば、致命的に違う点だと指摘する人もあろう。

取り敢えず、ボクの映画鑑賞の経験は恋愛の歌には繋がらない。

一人で観て、一人で下宿に帰り、一人で夕飯を食べて、静かに寝る。


そんなボクでも、「いちご白書をもう一度」のもつストーリー性に、心揺さぶられたのが最後のシーンだった。

就職が決まって、髪を切ってきたとき、もう若くないさと、君に言い訳したね・・・。

同じ経験をした。

学生時代、音楽をしていたから、当たり前のように髪を伸ばしていた。

出来たら、音楽業界に就職したいという思いもあった。

でも、決まった就職先は旅行会社だった。

ボクは、髪の毛を切って、ネクタイをして、就職した。

大人になるとは、そういうことなのだ。

何かに見切りを付ける。

床を叩きながら、平和と機会を求めた彼らも。

もしかしたら、心の中でつぶやいていたのかもしれない。

これが、最後の反抗ですと・・・。