サイボーグ009を初めて見た時、ボクは心に決めたことがある。
それは、自分の進路に関わる重大な決定だ。
そのときボクは・・・。
将来、サイボーグ009になろうと、決意したのだ。
ヒーローもののアニメや漫画はよく見たけど、ボクにそう思わせたのは、009がはじめてだった。
今までのヒーローは、ボクにとって憧れだったけど、同化を目指すものではなかった。
ウルトラマンは、ちょんまげ頭がちょっといやだったし。
スーパージェッターは、顔が丸すぎた。
エイトマンは、子供が憧れるには、少し顔がいかつかったし、月光仮面はピストルを腰で撃つしぐさがなんとなく、悲しかった。
それらに比べ、009は、粋でいなせな二枚目だった。

若林で見た空

髪の毛はロンゲだったし、瞳はキラキラ光っていた。
おまけに、ヒロインの003が美しかった。
こうなったら、是が非でも009になって、003をお嫁さんにもらおう。
ボクは本気でそう思った。
サイボーグ009は、今までのアニメとは違って、生い立ちが悲しかった。そして、サイボーグになった経緯も、同情すべき点が多々あった。そんな彼の生育暦が、ボクら見るものに、強い共感を読んだ。
たった10歳程度の子供でも、悲劇のヒーローのかっこよさは、十分理解できたのだ。
ボクの家に、サイボーグ009のコミック本が数冊ある。
今読んでも、そのストーリーは、切なく心引き寄せられる。
残念ながら、ボクは新黒い幽霊団にスカウトされることなく、この歳になってしまったので、今更サイボーグ009になるのは難しくなってしまったけど。
コミック本を読むたびに、当時の熱い血潮はこみ上げる。
石森章太郎さん。
あなたは、やっぱり天才的なストーリーテラーだった・・・。