リーの立ち位置を変えなくてはならない。だからこそ、日米は謀って、彼をハリウッドスターに仕立て上げた。リーの映画を、香港周辺で作らせてはならない。
反日のシンボルを、華麗なアクションスターにすり替え、その肉体美を誇る、優秀な武道家へと変貌させたのだ。
李をリーにして。
小竜をドラゴンにして・・・。
「燃えよドラゴン」に、反日の文脈は見あたらない。


若林で見た空


異なる流派が互いに争い、最後は悪玉が倒されるという勧善懲悪のストーリーになっている。
1973年の正月映画で・・・。その過去を知るべくもない日本人は、リーの美しい格闘に喝采を贈った。そして、日本人の中でも彼は、「巨星」へと成長していく。しかし、その彼のもっていた本質は、反日であったことにかわりはない。
ブルース・リーは、あの華麗で痛快な武道だけでない、複雑なアクターだった。