愛の証

紆余曲折を経て（←大げさ

）、自分がジャズが大好きだという事にかなり大人になってから分かったワタスですが、聴いた瞬間に心奪われた曲がいくつかあります。　その中の一曲が『Waltz for Debby（ワルツ・フォー・デビー）』

ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスが1961年に発表した名曲です。　元々は1956年に彼の兄・ハリーの、当時2歳だった姪っ子・デビーの為に作ったようなのですが、ワルツ調で始まるこの曲の、美しくも切ないメロディに一発でやられてしまいました

これは、そのビル叔父さんと姪っ子・デビーちゃん

　何ともほのぼのした気分にさせてくれるお写真

以前にもブログに書いたように、ワタスは歌詞と曲のメロディが完璧に一致した時、何とも言い難い感動の嵐に包まれるのですが、この曲の歌詞を読んだ時は感動と同時に切ない気持と嫉妬の気持ちも体験しました。

Waltz for Debby

In her own sweet world
Populated by dolls and clowns and
A Prince and a big purple bear

Loves my favorite girl
Unaware of the worried frowns that we weary
Grown ups all wear

In the sun, she dances to silent music
Songs that are spun of gold somewhere
in her own little world

One day all too soon
She'll grow up and she'll leave her dolls
And her prince and her silly old bear

When she goes they will cry
As they whisper good bye
They will miss her, I fear, but then, so will I

少女の夢の世界には
人形とピエロと王子さまと
大きな紫色のクマがいる

私の大好きな少女は
疲れきった大人たちの
心配気な顔など知らずに暮らす

陽だまりのなか少女は踊る
静かな音楽やそのあどけない心のどこかで
輝きをつむいだ歌にあわせて

ある日あっけなく
少女は大人になり人形や王子さまや
古ぼけたクマから離れてゆく

その時彼らはバイバイってささやきながら泣くだろう
みんな彼女を恋しがるだろうけど
私もきっと淋しくなるよ

∇JennKaye

ワタスがこの曲の中に見つけた感情は、きっとこの純真無垢な可愛い姪っ子が、いつかは成長して大人になっていくという淋しさと、今この瞬間を止めたいというもどかしさ、彼女に対するエヴァンスの大きな愛情に触れたからではないでしょうか。　そして、自分がこれほどまでに愛されているという証を、こんなに美しい曲で表現してもらえた姪っ子・デビーちゃん（←と言ってもご健在なら還暦間近

）にちょっぴり嫉妬してしまったワタスなのでした

音楽っていいな～ってこんな名曲に出会った時につくづく思います。　なぜなら、どんなに時間が経とうとも、曲の中ではずっとその時の思い出の中にいられるから。　
長年の飲酒・薬物使用により、1980年に帰らぬ人となったエヴァンスですが、世界中でこの曲が聴かれる度に、人びとの心の中で彼は2歳の可愛い姪っ子とのかけがえのない時間を過ごせるのでしょうね