「いのちの授業」 | ぺこさんち

「いのちの授業」

昨日、ついに杏菜とずっとやりたいと言っていた、
「小学校で授業をする」
という夢が実現した。

市内の学校で、中学で杏菜といっしょになる子たち。
それに、幼稚園でいっしょだった子もたくさんいる。
そんな小学校に、行ってきました。

「いのちの授業」という名目だけど、
杏菜と2人、同じ考えだった。
「うちらにも、いのちの大切さなんてわからんから、うちらに起こった事と、やってる事と、大切に思っていることだけを話そう」と。

しかし、ビビった。
ものすごーーく、ビビった。

450人+保護者

多っ!!


最初はそれでこそ緊張したが、
しゃべりだしたら、予想外に子供たちがちゃんと聞いてて、しかもめちゃくちゃレスポンスしてくれた。

緊張するとしゃべれないとおもい、杏菜は写真係を任命した。たまに杏菜に質問し、「うん」とか「スン」とか言ったくらいだ。

そして、なぜかオレも出た。
予定になかったので、軽くウケた。


「入院したことあるひとー」
「はーい」

って、まさかこんなにも多いとは。

当たり前だが、「小児がん」を知る人はほとんどいなかった。
杏菜の病気が、年に2人しかいないこと。小児がんの子は年間2500人くらいいるんだよ、

そう言うと、
「案外多いだね」と言う。
子供の世界は、とても狭い。2500人は多いのだ。


とにかく、入院中の写真を使いまくって、
これは、薬を使ってるんだよ
これは笑ってるけど、実は10回も吐いたあとなんだよ
髪の毛だけじゃなくて、眉毛も睫毛も鼻毛もないんだよ
血も作れなくなっちゃうんだよ

と、とにかく経験したことのみ話した。
先生達が期待していた「いのちの授業」「倫理観」はゼロに等しかったのだが、私はそれでよいと思っている。

なぜなら、経験しないとわからないことなんだ。
だからみんなには、「今」を必死こいて生きてほしい、どんなに辛くても悩みがあっても大丈夫だから、と
最後はそれしか言っていない。


講演がおわり、先生に誘われて5年生のクラスに突撃した。
幼稚園からなので、五年ぶりの再開だ。
しかし、覚えていてくれた。そりゃ、ハゲていた奴だからな、杏菜は。わかるか。
きゃーー!とひとしきり興奮した後、写真撮影。
「オレも同じ幼稚園だったに」と、どんどん撮影に参加。みんな、大きくなっている。


すっかり緊張がほどけ、家に帰って爆睡したわ。
私も、杏菜も。
オレひとりが、とても元気だった。

私には
いのちの大切さ、いのちの重み、いのちのこと
わからない。そんなもの、私が持っているボキャブラリーじゃ、とてもじゃないが言えないし、そもそも答えられない。

でも、経験したことなら言える。
伝わるかどうかはわからないが。


講演を終え、一人の子が感想を述べた。
笑顔の大切さがわかったって。(本当はもっと長く言ってくれたが、興奮してそこくらいしかはっきり覚えていない。video見直そ)

私が伝えたいものが、伝わってよかったなぁ

杏菜の笑顔が、どうか続くように
私も本人もがんばらなきゃね!