「私はすいぞうがんだよ」 | ぺこさんち

「私はすいぞうがんだよ」

さっきまで家族全員で、林修さんのやってるTV番組を見ていたわ。


健康と医療のアレの番組よ。


大人はもちろん、杏菜がこの手の番組が大好きで、

それに「オペ」だの「がん」だのの単語が羅列してあれば、さらに喰いつくわ。


そして今日も、とある単語に異常に喰いつく。


すい臓 という単語よ。



娘には、がん発症当時の3歳の時から、

「アンタはがんだ。膵臓癌だ」と言っている。


当時、その事については散々賛否両論言われたわ。


3歳の子に言ってもわかるはずがない、かわいそうだ、と。


しかし、当時の杏菜は勘が強く、何かを隠して生きていくのはダメだと判断した。

その結果、ちゃんと病気についても伝えたし、カンファレンスにも必ず同席させ、

奈良県まで行ったセカンドオピニオンですら、連れていった。


なので今でも娘は、「私は膵臓がんだった。ハハッ」と言う。


膵臓がどの位置にあるのかも、わかっている。



しかしその膵臓が、どんなに大事な臓器だと知ったのは、今日のこの番組でだ。


杏菜だけではない、家族全員、膵臓について今日はじめて知った。


膵臓、最強だったわ・・・



ぶっちゃけさぁ、「膵臓なんてちっちゃいし隠れてるし、なくてもイケそうじゃね?」とさえ思っていたが、

膵臓だけは、なくてはいけないらしい。まじか。すげえな膵臓。


そんな大事な臓器・膵臓にがんが出来ちゃった杏菜。


さすがにその事実に、驚きを隠せないらしく、


「ねえ、私ってさぁ、よく生きてるよね、へへっ」と、アワアワしながら言っていた。



杏菜のがん、膵芽腫。

膵臓にできる芽腫だ。


大人のがん細胞と違い、膵臓が成長していく過程で、なぜか癌化してしまったのが膵芽腫だ。


彼女はその膵芽腫を、抗がん剤12クールとオペ2回でなんとか「治癒」のところまで持っていった。


しかも、膵臓は切っていない。


膵臓から発生する芽腫なのに、なぜか腹膜に浮いていたというんだから、もう笑うしかない。



「アレだよね、とにかくさぁ、がんなんかいらんよね」


そうなんだよ。


私は杏菜に変わって癌になりたいと思ったことは1度もない薄情な母だが、

がんなんてなくなればいい、とはどんなに願ったことか。

それでもなくならない、がん細胞。

お願いだからさぁ、正常な細胞として生きていっておくれよ。




風邪だろうが、がんだろうが、

どんなに頑張ってもなってしまうもんはしょうがない。


病気だと嘆いていても、テンションが下がっていくだけだ。


ぺこさんちはそういう点で、こんな家族でよかったなぁとつくづく思っている。


小児がん患者である杏菜も、きょうだい児の漣人も、

その親である私と画伯も、

それぞれが悲観することなく、今を楽しく生きてきた。

(漣人は0歳だったから、もうそんなもんすら意識ないかもしれないが)


それが今やってるこのブログや、笑顔のちから に込められている。



杏菜は寝る前、お腹にあるオペ痕を眺めながら、

「膵臓ってヤバいね。てか、杏菜がヤバいね。」とつぶやいていた。