画伯のひとこと | ぺこさんち

画伯のひとこと

仕事を終え、杏菜と一緒に幼稚園へ漣人を迎えにいき、

そして家に着いたら・・・


画伯が、夕飯を作っていた。


「きのこ鍋作っとる」と言いながら、

ビール片手にニヤニヤしながら鍋を煮ている。怖い。


ご飯も炊いてあり、みんなで画伯のきのこ鍋を食した。

(本当にほぼきのこで出来ていた。衝撃だ)


ご飯を食べ終えた画伯はニヤニヤしながら私に、


「ちょっとさぁ、アソコ行かん?」と言う。


私「アソコって、どこだよ!」


画伯 「アソコってさぁ、アソコだよ。なんでわからんよ」


私 「わかるかっ!!ヒントはなんだ!!」


画伯 「子どもらにバレたくないだよ。ほら、時計が売ってるとこだよ、幽霊の」


私 「幽霊の時計?・・・アッ」


画伯 「いくか」



まさか、とは思ったが、幽霊の時計=妖怪ウォッチ だと理解した。



画伯 「でさぁ、アレ、買っちゃおうかと思って」


私 「アレって、なんだよ!」


画伯 「アレだよ、あの、幽霊の時計を画面で操作する、あの割と高い折りたたみ式機械」


私 「・・・まじかっ!!」


画伯 「よし、いくか」



画伯が「いくか」と言えば、もう強制連行だ。

画伯の言う事は、我が家では絶対なのだ。


なぜなら、画伯が言う事は、100%楽しいことか、めんどいけど笑えることしかないのだ。



私の車に乗り込み、向かうは、折りたたみ式機械の売っている、某アソコだ。


子どもらは、どこへいくかは知らない。


杏菜 「ねえ、どこいくの?」


画伯 「アソコだよ」


杏菜 「アソコって、どこだよ!」


画伯 「まあまあ、そのうちわかるって」


ここで絶対に行き場所を言わないのが、画伯クオリティー。

絶対に言わない。意地でも言わない。子ども相手でも容赦はない。


トイザラスが近付いてきて、子どもらが「まじかよ」という顔をしている。


画伯 「フフ・・何を買いにきたかわかる?」


杏菜 「えー!なになにー!?」


画伯 「幽霊の時計だよ」


杏菜 「えっ、わからん」



トイザラスに入り、DS売り場へ直行した。


子どもら2人は、あまりの突然さに、あっけにとられている。

子どもら2人の、あの顔はめったに見られるものではない。


画伯 「今からDS買うでね」


子どもら 「えっ!!!なんで!!!」


画伯 「今ならお父さん、お金あるで」


子どもら 「ありがとー!!!」



加藤家初のDSに、加藤家全員が興奮した。


一家に1台ということで、色は女子でも男子でもイケる黒にした。

ソフトは画伯が予告した、幽霊の時計 という名の 妖怪ウォッチのソフトだ。


画伯 「仲良く遊びんね」


子どもら 「ありがとーー!!!」



IMG01862.jpg

家に帰り、さっそく遊んでみる加藤家。


しかし加藤家にDSはなく、誰もやり方がほぼ分からない為、

まずは父ちゃんが初期設定をしてみた。


普段は「なんかクサイ」と言って近付かない子どもらが、

ピタッとくっついている。切ない。


それでもゲームなんかやらない子どもらは、

しっかり時間を守り、「今日はおしまいね」と、やめた。



画伯は本当に、こういうことを何でもない日にする人だ。


現に画伯は、子どもの誕生日プレゼントを1度も買ったこともないし、

クリスマスもないし、なんにもない。


特別な日には何もないが、こういうなんにもない日に、突然こういうことが起こるから、

家族全員、もう予測がつかないのよ。


だから私は、画伯が好きなんだよねぇ。

いまだによくわからんからね。


「今日だけだに」とビールを飲みながらニヤニヤする画伯は、とても嬉しそうだ。


子どもらは画伯の「今日だけだに」が本当だと知っているから、

「ありがとー!!超ありがとー!」とまじで言っているわ。



今日から加藤家に、現代機器のDSが入ったわ。


それでも加藤家は、なにも変わらないよ。