特許は以前は事業を守るための参入障壁と考えられていました。

つまり、製品や事業をカバーする特許壁を構築して他社の参入を防ぐために利用していたのです。

これはライセンスするよりも自分で稼ぐ方が効率がよいからです。


しかし、今は1企業で基礎から開発までの全ての素材から完成品までを一気通貫して開発することは少なくなりました。つまり、製品に関する全ての特許を自社で持つことは難しくなったということです。


特にコンピュータの業界ではマイクロソフト、インテルのようにオープン化してサードパーティに周辺機器を開発させた企業が、1社でOSからハードまで全てをやっていたマッキントッシュを圧倒しています。


このようなオープン化の流れを受けて、企業もライセンスインに積極的になってきています。


大手電気メーカーの知財関係の方に聞くと、昔は特許の売り込みがあれば、異議申し立てをして潰したり、それをヒントにもっといい特許を出していた、ライセンスを受けるなんてことは考えられなかった、ということでした。


しかし、今では事情が変わってきています。

オープン・イノベーションと言って、技術を外部から取り入れる動きが加速してきています。


これまでのように、基礎から応用、開発まで全てを1社でやれる企業は減り、逆に外部から技術を導入するすることで開発のスピードを上げるケースが増えてきています。電気業界等では以前からクロスライセンスが当たり前だったのですが、最近では製薬企業でもライセンスインが増加してきているのです。


つまり、今は特許をライセンスできるチャンスが増えているのです。

企業が積極的にライセンスインするようになりつつあり、いい発明であれば売れる可能性が高くなっているということです。


実際、ライセンス収入が増加している企業、大学は増えてきており、企業で数百億レベル、東京大学でも数億円レベルの特許収入があるそうです。


誰もが特許を出して億万長者になれたら、と思っているはずです。

そのためには発明ができると同時に、特許の仕組みを知っていると断然有利です。

優れた発明を強力な特許として権利化する。これができて初めてライセンスできる特許となるのです。

(実は優れていない発明を強力な特許にする方法もあるのですが、ここでは話を単純にするために省略します。)


発明者の方も弁理士受験生も特許の基礎知識をしっかりマスターし、特許制度を徹底活用できるようになりましょう。