いま、子供を巻き込んだいろんな事件がありますが
私は、自分が子供を持つとわかった瞬間から覚悟していることがあります。
それは、「子供は大人が思うスピードでは成長しない」ということ。
特に性的なことについて。
そして「子供は、秘密をもつ」ということ。
自分の身に、怖いことがあったとしても
とんでもないことをやってしまったとしても
黙っておくことができるということです。
私の中学2年生の時の体験を
20年以上経つので、時効だと思って書きますね。
みなさんにスリルを味わってもらうのが目的ではないので最初に言いますと
結果的には、事件になること、被害というようなことは何もありませんでした。
その点では、安心してお読みください。
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中学2年生のころ、私はAちゃんと一緒に登校していました。
私のほうが中学から遠かったので、通学途中で待ち合わせていました。
同じように、近くで待ち合わせている他のグループもありました。
Aちゃんとは部活も同じだったので、試験前など部活のない日は
仲良しのBちゃんと3人で、Aちゃんの家に寄り道しておしゃべりするのが習慣になっていました。
ある日、いつものようにAちゃんの家でおしゃべりしようと
3人でAちゃんの家に行きました。
車がないので、「お母さん出かけてる」と、
いつものカギの隠し場所(植木鉢の下だったかな)からカギをとって
Aちゃんが玄関を開けようとしたら
「開いてる」
「なんでだろー」
そのままAちゃんは家に入って
「部屋が散らかってるから、片づけてくるから待ってて」と
2階の自分の部屋に上がっていきました。
Bちゃんと私は玄関で待っていました。
するとすぐに
階段をAちゃんが転げるように降りてきました。
「誰かいる」
「え?」
「誰かいる」
「服を着ていない」
すぐには信じられません。
勇敢な?Bちゃんが「上いこう」といって階段をのぼり
私とAちゃんはついていきました。
部屋に入ると目の前にその人はいました。
服はもう着ていました。
体操服でした。
隣の家の、1学年下の男の子でした。
そこでなぜか私たちは安心して、同じ部屋に4人で過ごすことになりました。
1対3、中1対中2、だから強気だったのでしょうか。
その状況でなぜそこにいられたのか今ではわかりませんが。
少しの間この「事件」とは全く無関係な話を女子3人でして
ふと訪れた沈黙に、勇敢なBちゃんが
「ねぇ、なんでここにいるの?」と聞きました。
男の子は答えません。
何回かやりとりがあったでしょうか。
男の子は何も言葉を発しません。
それからしばらく、また関係のない話をおしゃべりしていました。
いつもみたいに。
1階で電話が鳴りました。
私たちは3人で駆け下りて電話のところに行きました。
Aちゃんのお母さんあての電話。
留守ですので、その旨を伝えて
部屋に戻ると、男の子はまだ居ます。
その後電話が2回くらい鳴ったでしょうか。
3人で電話を取りに行くたびに
次に部屋に行くときは、どうか居なくなっててほしい。
私たちが居ない隙に逃げてほしいと、祈るような気持でした。
3、4回目に部屋に戻ると、男の子はいなくなっていました。
私たちは1階にいて、彼が降りてくる気配はなかったのですけれど。
「はああああーーーーこわかったーーーーー」
心底ほっとしました。
「だけど、どこから帰ったんだろうね」
そう話していたら、さっきまで開いていなかった窓が開いていることに気づきました。
屋根伝いに逃げた。
そのときは、とにかく「いなくなってくれた」ことにほっとしたのですが
よく考えたら、Aちゃんにしたら、ものすごく怖いですよね。
「裸で何してたんだろうね」
今となっては、いろいろ想像できますが。
「Aちゃんひとりで帰ってたら・・・」
「やめてよ!!!!」
ほんとうに、怖い。
怖かったけど、結果的には直接何もなかったので
またいつものおしゃべりに戻ったのです。
***
続きがあります。
おしゃべりをしていたら、私はテーブルの上に1枚のメモを見つけたんです。
だいたいこんな内容です。
「 おねえさんたちへ
ぼくはとんでもないことをしてしまいました。
こんなことがみんなに知れたら、僕はここにいられなくなります。
どうか誰にも言わないでください。
お願いします 」
寒気がしました。びっくりしました。
そして納得しました。
何回も電話に出るために3人ともいなくなり
何度も逃げるチャンスがあったのに
彼が逃げなかったわけが。
このメモを書くため。
口止めをするため。
そのメモがあったからなのか、わかりませんが
私は、誰にも言いませんでした。
大学生になるまでは、ほんとに一切誰にも言わず
親にも言わず
不思議と、AちゃんやBちゃんともその話はせず
ただ、通学の時の待ち合わせ場所は変えました。
その男の子が友達と、待ち合わせしてる場所のすぐ隣だったから。
(彼らも場所を変えていましたけど)
隣のお姉さんへの、ただ、淡い恋だったのかもしれません。
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これは私の実体験です。
隣の男の子は、学年でも一目置かれる優等生でした。
しっかり者で、学業もトップクラス。
その後、おそらくAちゃんもBちゃんも私同様口外しなかったため
彼の立場は守られました。
(高校まで私と一緒になってしまったのは彼は動揺したと思いますが)
そして、中学1年生だったんですよ。
6月か、7月の出来事です。
つい数か月前まで小学生だったということです。
彼はどうしてそんな行動をとってしまったのか?と考えても無駄な気がして
どうして、というより、そのぐらいの男子はみんなその危うさの上に
なんとかバランスを保っているのかもしれないと思うんです。
きっと、まだ12歳だから大丈夫とか
そんなことは全然なくて
むしろ、その年頃だから自分の性に対する自覚がなくて
すごく不安定で、その衝動をどう扱っていいかまだわからないから
隣の家に侵入して全裸になる、といった行動になってしまったのではないでしょうか。
成長につれて、衝動との付き合い方がわかってくるものだと思うし。
だから私は、どんなに幼くみえても
男の子はそういう危うさを持っているもの。
(女の子もかもしれない)
優等生だから、やんちゃだから、そんなことは関係ないと思っています。
うまく性とつきあえるようになるには、時間が必要なんだと。
親ができることは、一人の時間と一人のスペースを尊重してあげることだと思います。
あとは、「うちの子に限って」と思わないこと。
性についての大人としての考えを、少しずつ伝えていくこと。
これは、うんと幼いうちから種が蒔けるよね。
生まれた時の話をすることからでもいいと思っています。
そして、女の子だった私の経験から思います。
怖い目にあっても、親には言いません。
子供は平然と秘密をもっていてもおかしくない、という覚悟は
私はしています。
ひどい被害にあっていたら、様子の変化に気づく自信も
同時に育てているところでもあります。
親に秘密をもつのが子供だと
それが当然だと思うからです。
だって、大人のみなさんだって若いころ
電車で痴漢にあったこと、通学路で変質者に遭ったこと、
飲み会の帰りに車であとつけられたことあるでしょ?(私はある)
親にいちいち全部言いましたか?
言わないことあったんじゃないですか?
親の反応みて事を小さく報告したりしませんでしたか?
言えば心配かけるし自由が減るから。
その前提で、親としてどうするか。
何を子供に伝えるかだと思ってます。
それはそれぞれの家庭で考えることですね。
ニュースで見る事件
他人事と思いたいですが
自分とは違う、特殊な家庭環境だから起こった
そういうわけではないと思います。
私の20ウン年前の体験談で
何かしら感じていただけたら幸いです。
元保健室の先生の三浦真弓さんが、思春期の対策講座を開講されています。
真弓さんのお話は中学校の養護教諭だったころの実体験を交えてわかりやすいです。
4年生の男子を持つ私としては毎日お役立ちのメルマガが楽しみでもあります。
