平成26年1月21日、JA共済ビル カンファレンスホールにて開催されたセミナー 「タイ・ベトナムの知的財産制度と模倣対策」 に出席した。

 主催は特許庁、実施は発明推進協会。


 東南アジアの知的財産制度についての情報は主にジェトロのホームページから入手することが出来るものの、制度運用などについての実態がわからず、セミナーの案内メールが届いたとき参加申し込みをした。

 プログラム
 「ベトナムの最新の知的財産法制度と権利侵害等について」
 講師:トラン・フー・トラ 氏

 「タイの最新の知的財産法制度と模倣侵害対策について」
 講師:井口 雅文 氏


 ベトナムについて
 トラン・フー・トラ 氏によると、
 ベトナムでの特許出願の約95%が外国企業からで、現地企業からは約5%で、非常に少ない。

 出願から特許になるまで2年から4年であるが、JP,USPTO,EPOの審査結果を利用することから審査結果待ちがある。


 権利侵害に対しては行政手続をする方が簡単である。
 権利侵害を扱う管轄の国家機関として
 ・科学技術監査局
 ・市場管理局
 ・税関
 ・警察署
 ・省及び地区レベルの人民委員会

 損害賠償を求める場合には裁判所に訴えなければならないが、侵害の停止だけなら行政手続をする方が簡単で早く解決できる。

 訴訟を提起すると解決まで数年要するが、行政手続ならば数カ月で済む。



 タイについて

 井口氏のレジメの最初に
 東南アジアは何故わかりにくいのかについて
 ・制度規則が無いために発生する問題
 ・制度があるが、運用で発生する問題
 ・制度・運用があるが、利用できていない
  という問題(実態に即していない制度)
 ・利用者側の問題(権利者、使用者、介在
  する事務所など)
とに分けることを示してくれたが、これは問題整理に役に立つ。


 タイの知財制度で注目したのは小特許(実用新案)制度である。


 井口氏によると

 方法や化学物質も保護対象となり(保護対象が同じ)、登録要件としては新規性のみで、進歩性は要件になっていない。
 タイで特許を取得するには出願から登録まで約12年と、結構時間がかかる(かかりすぎでは?)。
 小特許の場合、化学系を除くなら出願から登録まで約2年である。

 出願件数でみると、特許については外国企業からが多く、現地タイ企業からは少ないのに対し、小特許では現地タイ企業からが圧倒的に多く、外国企業からはわずかである。

 でも小特許を軽視すると、小特許を利用した現地企業からの権利侵害と訴えられるリスクがある(井口氏、実例についての解説があった)。


 そうすると、何でも彼でも特許ではなく、小特許を検討してもよいと思う。


 最後にパネルディスカッションがあったが、都合により退席した。