平成25年5月23日のブログで、平成25年5月21日の弁理士会研修 クライアント企業が求める戦略的中間処理 について書いた。


 上記研修の終了後、会場の出口で講師大貫進介氏著の「特許出願の中間手続基本書」を販売していたので、購入した。


 購入した動機は、通常価格3,360円(税込)のところ2,500円で、これならば丸沼書店で購入するよりも安価であるという、きわめてケチな理由である。


 しかし、読んでみると、上記研修で配布されたレジュメの内容「権利行使、無効審判を考慮した意見書・補正書」について詳しく言及されており、参考になった。


 「・・・本願発明の課題や作用効果を説明したりすると、出願経過参酌論によって特許権行使時に権利範囲を狭く解釈される可能性がある。・・・」の部分についてはまさにその通りであると、思う。



 「進歩性なしを理由に拒絶理由を受けたとき、意見書で本願発明と引用例との構成上の相違により、本願発明は引用例からは想到することができない、顕著な作用効果を奏するので、進歩性有りと主張」することがあるが、発明の本質はあくまでも構成であって、作用効果ではない」と、元東京高等裁判所判事の山下先生が、弁理士を対象とする講習会で 強調していた。


 また、別の研修会で、事件(平成17年(行ケ)10220号)に関連し、作用効果をどのように評価するかについて、元知的財産高等裁判所判事の宍戸先生が、
「発明は、課題(目的)、構成、作用効果によって特定されるという考え方において、
(A)課題(目的)、構成、作用効果は並列的な関係にある、とする考え方と、
(B)第1に構成、それを補うものとして課題(目的)、作用効果がある、とする考え方とがあるが、
現役の裁判官の大半は(B)の考え方を採用し、第1に構成であると考えている」と話していた。

発明の本質は構成であり、作用効果ではない。


そうすると、意見書において、本願発明の作用効果を主張することは、意味がないばかりか、大貫氏が指摘しているように特許権行使時に権利範囲を狭く解釈される可能性があり、極力避けるべきであると、思うがどうだろう。