弁理士会研修 「侵害訴訟に強い明細書等」 での小松先生の講義のうち、3 文章の意義等に関する例(機能的クレームとの関係 事例19 平成15年(ワ)第19733号、同第19739号 平成16年12月28日、言渡し 東京地裁 アイスクリーム充填苺事件)についてのブログを書いた。


 この事件、機能的表現クレームについて、「特許請求の範囲が,作用的,機能的な表現で記載されている場合には,その記載のみによって発明の技術的範囲を明らかにすることはできず,当該記載に加えて明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌し,そこに開示された具体的な構成に示されている技術思想に基づいて当該発明の技術的範囲を確定すべきものと解するのが相当である。」と、判断したものである。


 ところで中国では「機能的表現クレーム」について、審査・審判時、訴訟時でどのように判断されるのだろうか、興味をもっていた。


 そこで、最近の、弁理士会研修、パテント誌、ジェトロ上海センター 知識産権部から入手した機能的表現クレーム関連情報を整理してみた。


 以下に列挙したものは個人的な好みが強く反映されていることに留意されたし。


 ① 「中国での「機能的表現クレーム」の取り扱い実務について」
    劉 立平 先生 著 中華人民共和国弁理士  パテント2003 Vol.56 No.11


 ② 「中国特許実務-記載要件とOA応答を中心に-」
    講師 弁理士 金高 善子 先生 2009/11/9 弁理士会研修


 ③ 「中国特許権取得のテクニックと現地代理人とのコミュニケーション」
    講師 中国弁理士 楊 琦(yang qi)先生 2012/01/18 弁理士会研修


 ④ 「如何に中国で強い特許を取得するか」
    講師 中国弁理士・日本弁理士 劉 昕 先生 2012/01/25 弁理士会研修


 ⑤ 「中国特許実務セミナー」
    講師 専利代理人 龍 淳(Long Chun)先生 2012/03/07 弁理士会研修


 ⑥ 「中国特許実務セミナー」
    講師 弁理士 河野 英仁 先生 2012//06/11 弁理士会研修


 ⑦ 「特許権の権利解釈にかかる日中比較調査報告書」
    ジェトロ上海センター知識産権部 2010/03
    
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/pdf/report_201003_2.pdf


 機能的表現クレームが含まれていると、いずれにせよ拒絶理由通知が発せられ、これに対応するためにほぼ実施例に示した内容にまで限定した補正をする必要があるとのこと。


 すなわち、機能的表現を使用したばっかりに、クレームを必要以上に限定することが求められるという不合理な結果が生じる場合があるとのこと。


 また、特許になった後、機能的表現があると、サポート要件違反として無効理由になりやすいとのこと。


 侵害判断において、機能的記載の技術的範囲は、明細書に記載の実施形態及びそれと均等な形態に限ると解されるとのこと(特許権の権利解釈にかかる日中比較調査報告書 17頁参照)。


 ① 「中国での「機能的表現クレーム」の取り扱い実務について」は、劉 立平 先生ご自身が機能的表現クレームについてした審査官とのやり取りが具体的に解説されているので、非常に参考になると思う。


 ただ、原稿受領が 2003/06/12 なので、例えば、⑦ 「特許権の権利解釈にかかる日中比較調査報告書」などで確認しておくことを薦める。