$特許翻訳のプロが教える翻訳を仕事にする99の方法

知的財産部時代の話を書いています。

特許ミニ講座33 知的財産部時代の話。からの続きです。

開発者の人たちから、ゆっくりと話を聞いた後に、決めなきゃいけないこと。

それは、「何を出して、何を出さないかを決める」ということ。

特許を出すと言ったら、「どんな情報も全部出す」という風に思われるかもしれないんですが。

特許出願をするというのは、ある意味大きなリスクも伴うのです。

だって、出願してしばらくすると、誰でも内容を見ることができるようになるので(「公開」という制度)。

特許庁の初心者向けページ「特許権をとるには?」

いいアイディアを「タダ」でライバルにあげてしまうかもしれないし、新商品のヒントを与えてしまうかもしれないし。



特許制度というのは、

「あなたが持っている技術内容を世間に公開して」

「そのおかげで産業がもっともっと発達して」

「その代償(ごほうび??)として、特許権という権利を与えましょう」

というものなのです。give and takeなんですよね。

だから、「公開」は絶対条件。でも・・・不用意に全部公開したら、大きな損をすることになる。



だから、本当に慎重に、

「これは公開しても大丈夫か」

「権利を取るのに本当に必要か??」

「そもそも特許権が必要か?(社内でノウハウとして隠しておいた方がいいんじゃないか)」

という話し合いをします。

そもそも特許になりそうにないものだったら、お金を出してわざわざ情報を公開する必要もないわけで。

後は、戦略上のお話。これ、どれくらい売上を見込んでますか?とか、将来的にいろんなバリエーション増えそうですか??とか。業務提携の可能性とか、ライセンスの予定はあるか?とか。ライバルの動向とか。



特許って、「いいものができた → よし出願だ」ってなると思っている人も多いかもしれないですが、実は、お金やビジネスと大きくからんでいるので・・・それによって明細書の書き方も、出願戦略も大きく変わってきます。

とってもファジーで、人間臭い業界だと思うのは、この辺が原因なのかも。

次回に続きます。