知的財産部時代の話を書いています。
特許ミニ講座33 知的財産部時代の話。からの続きです。
開発者の人たちから、ゆっくりと話を聞いた後に、決めなきゃいけないこと。
それは、「何を出して、何を出さないかを決める」ということ。
特許を出すと言ったら、「どんな情報も全部出す」という風に思われるかもしれないんですが。
特許出願をするというのは、ある意味大きなリスクも伴うのです。
だって、出願してしばらくすると、誰でも内容を見ることができるようになるので(「公開」という制度)。
特許庁の初心者向けページ「特許権をとるには?」
いいアイディアを「タダ」でライバルにあげてしまうかもしれないし、新商品のヒントを与えてしまうかもしれないし。
特許制度というのは、
「あなたが持っている技術内容を世間に公開して」
「そのおかげで産業がもっともっと発達して」
「その代償(ごほうび??)として、特許権という権利を与えましょう」
というものなのです。give and takeなんですよね。
だから、「公開」は絶対条件。でも・・・不用意に全部公開したら、大きな損をすることになる。
だから、本当に慎重に、
「これは公開しても大丈夫か」
「権利を取るのに本当に必要か??」
「そもそも特許権が必要か?(社内でノウハウとして隠しておいた方がいいんじゃないか)」
という話し合いをします。
そもそも特許になりそうにないものだったら、お金を出してわざわざ情報を公開する必要もないわけで。
後は、戦略上のお話。これ、どれくらい売上を見込んでますか?とか、将来的にいろんなバリエーション増えそうですか??とか。業務提携の可能性とか、ライセンスの予定はあるか?とか。ライバルの動向とか。
特許って、「いいものができた → よし出願だ」ってなると思っている人も多いかもしれないですが、実は、お金やビジネスと大きくからんでいるので・・・それによって明細書の書き方も、出願戦略も大きく変わってきます。
とってもファジーで、人間臭い業界だと思うのは、この辺が原因なのかも。
次回に続きます。