最近のパリはと言うと…
『大統領選』一色です。
※写真は Le Figaro étudiant
『Macron - Le Pen : le match des programmes pour l’éducation et la jeunesse』より引用
明日、7日(日)に迫った
フランス大統領選決戦投票。
先日の第一次投票を1位、2位で通過したのは
エマニュエル・マクロン候補とマリーヌ・ル ペン候補。
1位通過したエマニュエル・マクロン候補、
現在でも人気に翳りはなく
フランス全土のアンケートでも、
マクロン候補の支持率は、60パーセント以上を推移。
(つまりル ペン候補は40パーセントを下回る数値。
それでも極右政党のトップが獲得する40パーセントは、大きな数値です。)
第一次投票から決戦投票までに
マクロン候補のお膝元・Amiens(アミアン)で
大型工場閉鎖に対抗する労働組合との対話のため
両候補者が同じ工場を同日に訪れてニアミスしたり
(いつでもどこでも、ル ペン候補は
マクロン候補を批判して、民衆の心理を煽るのがお約束。
マクロン候補は、ブーイングで迎えられはしたものの
冷静な話し合いの態度が功を奏して(?)最後は労働組合と
和解&握手で対話を終えたようです…)
先日、シャンゼリゼで起きた襲撃事件により
殉職した警官(男性)の追悼セレモニーで
パートナー(男性)がスピーチを行ったことに対し
マリー・ル ペン候補の父で、
国民戦線(Front National、略してFN、現在はマリー・ルペン氏が党首を務める)
元党首のジャン=マリー・ル ペン氏が
『このセレモニーは、殉職した警官に対してというよりも
ホモセクシュアルに対するオマージュに見えるね』などと発言。
旧極右派の主張を路線変更し、妊娠中絶や同性愛を容認し
反ユダヤ主義を理由に父親を除名し、イメージを変えようとしてきた
娘・マリーヌ・ル ペン候補の足を引っ張る結果をもたらしたり…
※写真は Le Figaro vox
『Débat Macron-Le Pen : « Une soirée pour rien »』より引用
テレビ討論で、マリーヌ・ル ペン候補が
司会者をぶっちぎりで無視して
中身のない、マクロン政策の批判ばかりの発言で場をかき回し続け
観客を心からうんざりさせたり…
※写真は Le Monde Présidentielle 2017
『Débat entre Macron et Le Pen : les réactions politiques』より引用
ここでも(ちょっと泡を吹きながらも)冷静に、反論を続けたマクロン候補。
怒りのボルテージが上がりやすく、感情爆発型のフランス人が多い中
アンガーマネージメント訓練でもしているのかしら?というくらい
年齢(39歳)に見合わない、冷静な態度が評価されています。エリートならでは?
マクロン候補に、ちょっと追い風?と思われる状況です。
2012年の大統領選で、
右派、左派の支持派がはっきりしていた地方でも
今回は中道派のマクロン候補を支持している地域があったりして
世論の動きを感じることができる反面
またマクロン候補が中道派であることにより
ジャン=リュック・メランション候補の人気を支えた
左派支持者(主に労働者階級)が誰に投票するのか、など
浮遊層が大きいのも、ちょっと不安要素。
『どちらも選びたくないから棄権、または白紙投票する』
という人も多いのも心配の種です。
パリでは、と言うと…
パリ全体のル ペン候補への投票率は
一番高かった13区でも、7パーセント未満。
他の地域では、5パーセント前後でした。
※画像は Le Parisien 第一次投票終了後の記事
『CARTE. Présidentielle : les résultats à Paris, bureau par bureau』より引用
パリでのマリーヌ・ルペン候補の不人気は
今に始まったことではなく
エマニュエル・マクロン候補の圧倒的人気に
現時点ではとりあえず、翳りはないようなので
パリの投票結果に対しては、とくに不安はありませんが
トランプ大統領の当選時も
都市部の人気とは比例しなかったこともあり
開けてみるまで…と思っています。
パリの第一次投票結果で不思議に思うのは
移民が多いと言われるパリの外側、郊外との境界部分で
ル ペン候補への投票率が高めなこと。
パリで一番ル ペン候補への投票率が高かった13区も
ヨーロッパで最大の中華街を抱える、とっても移民が多い地域です。
こうした移民たちの間で交わされているのは
『これ以上はいらない』という意見。
移民を受け入れ、多民族国家を作り上げてきたフランスに
受け入れられ、社会保障などを含めて
そのサービスを享受してきた移民たち(もしくはその子孫たち)自らが
移民排斥の方向へ向かっているのは、なんだか皮肉にも感じますが
自分の既得権益が、新しくやってくる移民たちによって
脅かされているように感じるのでしょうか。
ともあれ
金曜夜ですべての選挙活動が終了した今
決戦の日曜日を待つのみ。
どうか
有権者が広い見識と視点を持って
常識的な判断をする日であるよう
心から願っています。