台湾華語と中国普通話の違い:耐えられる | いろいろあるけど、やっぱり台湾

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下町グルメ、南国フルーツ、親日家の人たち、
繁体字の中国語、連日の雨、中国との微妙な関係…

わかったようで、よくわからない。
だから、やっぱり台湾はおもしろい!

 
 
翻訳の仕事中に、台湾人同僚と訳語を吟味していた時のこと。
 
私が提案したのはこの言葉。
 
「勝任」
 
「任に耐えうる」つまり「ある役職や担当をこなせるだけの能力がある」という意味です。
 
ところが、上手く伝わりません。
 
私は、「sheng4ren4」と発音したのですが、同僚は「sheng1ren4?」と聞き返してくる。
 
「違う、sheng4ren4、勝利の勝」と説明すると、「あ、その場合はsheng1ですよ。」とアッサリ訂正されてしまいました。
 
 
 
あれ、私が覚え間違えてたのかな、とちょっと自信もなくなり、発音をうんぬんしてる暇もなかったので、その場はそのままやりすごしたのですが、どうもスッキリしない。
 
 
翻訳の仕事が無事終わり、納品も済ませて「勝任」を辞書で引くと、何と、台湾の中国語(華語)と中国の中国語では、発音が違うのでした。
 
 
「勝利/胜利sheng4li4」の「勝/胜」はどちらも第四声ですが、同じ「勝/胜」を「耐えられる」の意味で使う場合、台湾華語だけ第一声に変わるのです。
 
中国普通話の辞書を引いてみると、「耐えられる」の意味の時に第一声にするのは、古い読み方なのだとか。
 
じゃ、四字熟語の場合はどうだろう、といつものように「漢典」で比べてみました。「枚挙にいとまがない」「数えあげたらきりがないほどたくさんある」という意味の「不勝枚舉/不胜枚举」です。
 
 
上が中国の中国語(普通話)、下が台湾の中国語(華語)です。「勝」の声調はやはり違っていますね。
 
 
今の普通話(中国の標準語)の基準では、元々複数の読み方があるものが、時々ひとつに統一されています。古い言い方は、こんな風に台湾でだけ残っている場合もあります。
 
でも、だからと言って、中国は伝統文化を壊してるうんぬん、という結論にはなりません。逆もあるのですから。
 
方言差の大きい中国語の中で、標準語の基準を定める難しさは、中国も台湾も同じ。こんな言葉のややこしい読み分けの規則が、必要かどうかに正解はないのだと思います枝豆
 
 
 
 
 
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