「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」 | Je suis le père de Chip.

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ハアー 佐渡へ  佐渡へと草木もなびくヨ

 佐渡は居よいか 住みよいか・・・

 

言わずと知れた「佐渡おけさ」である。

佐渡おけさは、船乗りたちによって佐渡に伝えられた唄が相川の佐渡金山の鉱夫達に広まり「選鉱場節」として唄われたのが由来と聞く。

 

選鉱場といえば、相川にある「北沢浮遊選鉱場跡」。

世界文化遺産登録をめざす「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」にある産業遺産である。

 

今年も「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」の国内推薦が見送られた。

考えてみれば、こうした産業遺産の歴史的価値が毎年毎年上がっていくはずもない。ただ毎年毎年国内推薦を狙ってみたところで結果は見えている。

 

タージ・マハルや万里の長城などの文化遺産は、その景観の美しさや壮大さで群を抜く。その歴史的価値も長い時間をかけて語られてきた。世界史の教科書にも載るなど知名度の高さは圧倒的で、世界文化遺産であることに異を唱える人はいないだろう。

 

「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」には、残念ながらそのような世界的知名度はない。人類の歴史と世界地図の中の普遍性は乏しいというのが厳しい現実だ、

 

だとするなら、遺産群の歴史的価値について極限まで訴求力を研ぎ澄ますしかないということになる。

 

特に、産業遺産は建造物が果たした役割や歴史的価値を整理したうえで、誰もがうなづけるようにより多くの言葉で説明していく必要がある。

 

「石見銀山遺跡とその文化的景観」がどのようにして世界遺産となったのかを調べてみると実に興味深い。

世界遺産登録候補となったものの、顕著な普遍的価値の証明が不十分であることを理由にユネスコの諮問機関であるICOMOSから一度は登録延期勧告を受けた。そこからわが国は外交攻勢や推薦書にある植林や自然との共生を強調することで登録となったとのこと。

 

産業遺産の歴史的価値とは現代の産業にどのような影響を与えたかであり、それは単に佐渡島に限らずわが国の産業の有り様に今も息づいているかどうかを語れるものとして、言葉は悪いが大風呂敷を広げる傍らで根拠を精緻に積み上げていく必要がある。

 

こうなるともはや説明ではなく証明そのもの。

国内推薦を受けてようやくスタートラインに立ったといえるのだが、現状はその一歩も二歩も手前といったところ。こんなところで一喜一憂していたのでは世界遺産登録は程遠い。正念場は国内推薦を受けてからなのだ。政府代表の外交など大いなる援護射撃=要は交渉力というのも何やらキナ臭さを感じるが、それが現実なのだから仕方ない。

 

お祭り騒ぎは世界文化遺産に登録が終わった後にしてとも思うが、ただただ両手を合わせて固唾を呑んで見守るよりも、何も手だてのない庶民としては大いにムードを盛り上げていくしかないのだろうか。

 

佐渡鉱山の長い一年がまた始まった。