石破茂氏と田中美智太郎・清水幾太郎 | 加納有輝彦

石破茂氏と田中美智太郎・清水幾太郎


 BSフジ・プライムニュースに自民党総裁選への立候補を表明している石破茂氏が出演していた。
石破氏については、防衛大臣当時の国会答弁などを拝見し、専門知識が豊富な方だなという印象を持っていた。

 同時に、ある意味まだお若いので、時としてその歴史観が、渡部昇一氏などから批判もされていた。(自信満々に語るわりには、間違った歴史解釈を部分的にしているところもあるらしい)


今日のプライム・ニュースの石破氏は、正直に真摯にご自分の政治哲学を語っておられたと思う。私はある種の感動を覚えた。政策内容とかではなく、その真摯な姿勢に・・・。

 今日の石破氏は、ある意味、政治家としての無力感と、同時に消えそうな理想・志を愚直に残り少ない時間で追い求めたいと正直に吐露しておられた。

 その正直さに感動を覚えた。

 もう日本に残された時間は少ない・・・と最期語っておられたのには、同じ問題意識を共有しているという気持ちになった。


田中美智太郎氏(哲学者)の論を引用して、

「日本国民は主権者たりうるか」否「日本国民は主権者足り得ない」

 このことに、長年石破氏は煩悶してきたという。

かつて君主が主権者であった時、君主の一存で税金は取り放題、戦争もする。民は、ただただ君主にお願いするしか道はなかった。「税金を安くしてください。お願いします。」

 そして市民革命を経て、主権在民となった。

 君主に変わり、国民が自ら(国民によって選ばれた代議士が)税率を決めるのである。

よって、本来、国民主権とは、国民自身が為政者となって「税率」等を決定しなければならないのである。

 しかし、現実には、国民は代議士に「お願いします。お願いします。」の姿勢であり続ける。

 これをもって、田中美智太郎氏は、国民は主権者足り得ないという。

 石破氏は、この命題を真剣に受け止め、葛藤しているのである。

また、石破氏は、若いころ清水幾太郎をよく読んだという。清水幾太郎曰く「国民が厭がっているもので、しかし国家の将来にとって絶対に必要なもの、そういうものがあるでしょう。
それを国民にやらせる、納得させる、それが駄目なら強制させる。それが政治家の使命ではないでしょうか?」(清水幾太郎の「戦後を疑う」)

 しかし、石破氏は、最近は、国民が政治家の話を聞いてもらえなくなったという。政治家の説得に対して、聴く耳を持たない国民が増えたという。

 石破氏は「今の日本のままで、私が政治家生命を終えたら、何のために政治家になったのかわからない。」という。
 
 石破氏は、「政治とは何ぞや?」煩悶する。どこかに絶望感を漂わせながら。

 旅芸人の座長のような橋下大阪市長などより、石破氏が、悩める人であるところがうんと信用をおけると感じた。

 プライムニュースの解説者も、番組の最後に、思わず反省の弁を述べた。
「われわれマスコミも反省しなければならない。政局一辺倒の皮相的報道に終始してきた。」

 石破氏の真摯な正直な姿が、そういわしめたのであろう。
もっとも姿だけではだめだ。石破氏は、しばしば政治家よりインテリであるマスコミ人に対しても言葉を持ち武器としている。かなりの読書をしてこられた人なのであろう。
 マスコミをも知的に屈服させる言葉の武器を、部分的にはお持ちの石破氏がゆえに、マスコミ人の反省の弁を聞けたのであろう。

 多チャンネル化され、BSだからこそこのようなじっくりと一政治家の意見を聴ける番組が可能となった。地上波だけの独占的放送体制では、このような番組はできない。

 もっともっと多チャンネル化することこそ、日本を豊かにすると確信する。

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