ユーロビジョン・ネタが続いていますが、番外編として。
"Amar Pelos Dois" の二人はどうなるのか。
歌の主人公の一途な思いにも関わらず、恋人が戻ることは無い。
私はそう思っています。
サルヴァドールの歌唱がどんどん切なくなるのも、
戻って来ないことに気付いて、その事実を受け止められないから。
ESCファイナルに至っては、それは恋人を失った苦しみになってしまった。
そんな風に勝手に解釈しています。
もう、小説を書けるくらい妄想しています。
やがて主人公は新しい恋(自分から見つけた恋ではなく、相手から深く愛された末の)を始め、
失恋の痛手はゆっくりと少しずつ癒されて、若い時の思い出になっていく。
サルヴァドールに代わってルイーザがプレス会見に出た時。
「この人のために曲を書いてみたい、というアーティストはいるか?」という質問に
「トム・ウェイツ。大好きなの」と答えていました。
→ https://youtu.be/wIEYlaqOM74?t=10m38s
ルイーザ!私も伝記(「酔いどれ天使の唄」)を持っているくらい、好きだよ!
ちょっと意外、でもアメリカ暮らしもしていたルイーザなので、わからなくもない。
そこで「あ・・・」と思ったのです。
Tom Waits –Martha
トム・ウェイツの曲で一番好き。
昔の恋人に電話をかける男の歌です。
別れた理由はわかりませんが、お互い、今ではそれぞれに家庭を持って、
(多分)平凡でも穏やかな暮らしを送っています。
長い間、会うことの無かった二人。
-俺の声を思い出してくれるだろうか・・・
-マーサかい?俺だよ、遠くからかけているんだ。
-あれはバラ色の毎日だった。俺のすべてはお前で、お前のすべては俺だった・・・
幸せそうな相手の現在を喜びつつも、最後に男は言ってしまう。
「I love you , can't you see ?」
愛しているんだ、わからないかい?
嫌いで別れたわけじゃない二人。
愛していたのに離れてしまった二人。
これは"Amar Pelos Dois"の二人じゃないか?
しわがれトム・ウェイツの曲ですから、
サルヴァドールが表現するような無垢で一途な男の歌ではないけれど、
生涯で一番好きだった相手を、ずっと心の中に大切にしまっているのは一緒。
ふとしたきっかけで消息を知ることになり、
思い出を思い出のままにしておけない情熱にかられてしまう。
それがどんなに馬鹿げた、誰も幸せにならないことだとわかっていても。
世の中、成就する恋としない恋とでは、後者の方が圧倒的に多いわけですよ。
やっぱり"Amar Pelos Dois"は別れる二人の歌なんだ。
切ないなあ。